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災い
ある日、綱成から戻った隊商が山の口を出た後、弓を持つ数百人に包囲された。
父は彼に馬を譲り、彼だけが生き延びた。
弓をもつ人たちは、北地の北端、コロンから来た胡族の一部。
昨年の冬、コロンに黒い災と白い災が同時に降りた。
冬に入った頃雪が降らず、牛と羊は渇きで死に、その後大きな雪が訪れ、残った家畜も積雪のしたにある草を食べずに餓死した。
彼らの首領、モンクは生き残った人と家畜を集め、南のシリンゴール部に草打ちを仕掛けた。
夏にシリンゴール征服を終え、今年の秋、モンクはさらに南にあるウラン部に手を出したまでだ。
ウラン部は抵抗したが、結局敗れて、胡族に財貨を捧げ、支配下になった。
綱成の北西の山谷には、燕の人が砦を筑いて、胡族の更なる南下を防ぐ。
これで、中原-綱成-ウラン-北地を通る商いは絶えた。