神々の囁き
此時、山谷の間では狂風が吹き荒れ、雨ま前より激しくなった。
牛力の叫び声は、谷間いる全員に響き渡った。
兵士達は、手元にある武器を持って、一斉帳から出た。
ほとんどの松明が、風と雨に吹き消された。
漆黒の夜、だれがだれなのかさっぱりわからない。
狂った兵たちが目にするのは、月光に照らされ、鋭く輝く剣たげだ。
そして、殺し合いが始まった。
「熱い!」
牛力は、熱にうなされていたが、狂風の中で自分の力がさらに強まっているように感じた。
矢傷が裂けたが、その痛みが彼をさらに刺激し、剣をより力強く振り回させた。
「秦軍をぶち殺せ!」
風が兵士達の耳に囁いてる。
「落ち着…」
軍営を仕切る百人将の声はまだ遠く飛んでなく、彼の首が先に飛んだ。
狐毛らは、この光景を望んでいる。
もともと、深夜になる時、巡邏する者の首を刎ねて、放火して混乱を起こすつもりだった。
今の四人は、二人一組で帳の二つの入口を守っている。
狂った兵士が間違って入ったら、余裕で始末した。
このまま二刻を待ち、外は徐々に静かになっている。
狐毛らは帳から出て、松明を付け直した。
目の前には死体が入り乱れ、帳も壊れたりしている。
死にかけた兵士達を速やかに仕留めて、狐毛達は収穫に取り掛かった。
まず口笛で蕩を山の上から呼ぶ。
これからは、五人で百人ほどの死体から貨物を召し上がる。
寝ていた斉の兵士達は甲冑を着ていなかったから、蕩の時だいぶ手間省いた。
甲冑、玉、金、剣、そして戈の頭が集められ、分類され、包まれた。
そして包みを輜車に載せた。
暁に、狐毛らは五台の馬車を駆りながら山谷を後にした。
彼らの背後には焼き払われた営が残されていた。