似たような夢
帳の中、狐毛らは横になって、蕩から次の合図を待っている。
雨は、すでに降り始めた。
大雨ではなく、まだ小さいな雨だ。
風も吹き始めた、帳を軽く揺らがすほどの風だ。
狐毛は子供の頃を思い出した。
その時、狐毛は包の中で横になり、風が帳幕の囲氈にあたった音を聞ききながら眠りに行く。
まもなく、狐毛が寝てた。
いびきは周囲を驚かせたが、誰も彼を起こさなかった。
狐毛はまだ、父親と一緒に山谷の道を歩く夢を見た。
山谷の出口からは、右側の山峰が太陽に照らされ、赤く輝いているのが見える。
この赤い峰を越えると、果てしなく広がる大草原が広がっている。
毎回ここの峰を見た途端、が突然異常に眩しくなり、その後目が覚めた。
「へ…へ……」
狐毛は起き上がって、息が切れている。
此時、狐毛らから遠くないところ、もう一人の兵士が悪夢を見ている。
彼には名字がない、耕牛と互角のを持っている巨漢だから、周りに牛力と呼ばれている。
二年前のこのごろ、燕国侵攻に徴発された前、牛力はまだ斉の北にある、饒の農民だった。
燕国へ行った最初の頃、力と同じ里の連れは義兵として燕国の民に歓迎されていた。
燕国は、子之と太子平二派の殺し合いに疲弊していたからだ。
暇な時に、同じ里の連れと一緒に駐在地の周りに巡邏することが好きだった。
すきな物を目にしたら、相手に尋ねると大体くれし、お酒を飲むで田舎娘をからかうのも面白かった。
だが一年後、斉軍が撤退。
これからは悪夢だらけだ。
煮棗城、牛力は連れが次々と血の海に倒れていくのを見た。
牛力は雲梯から崩れ落ち、地面に向かって落ちていく、限りなく落下し続け、まるで黒い海の中に沈んでいくかのようだった。
彼は全力を振り絞って上へ泳ぎ、ついにその黒い海から浮かび上がった。
見上げると、無数の矢が黒い影となって自分に向かって飛んできた。
そして、無数の矢が目の前に黒い兵士と変わり、襲いかかってきた。
「秦軍が来た!」
急に目を覚ました牛力が大声で叫んだ。