敗兵
斉、魏、衛、三か国の境目には、川が入り組み、点在する湖、沢、沼がこの土地を細かく分割した。
この時、斉が大敗した消息はすでに斉の西三都に届いた。
潰された斉兵の行くところは三つの都。
北にある阿に行くのは一番近く、早ければ二日つく。
南東にある平陸は三日かかるが、ほとんど平原で歩きやすい。
そして一番遠いかつ険しいのは北東の高唐。
勝敗は戦の常、齊はすでに兵の収集に取り掛かっている。
大野沢の北東、川沿の道、齊の騎馬伝令兵が走っている。
彼の役目は、敗走中の兵士を正しい集合地に導くである。
まもなく斉兵が見つかった、彼らは目が虚ろで、魂を失ったかのようだった。
「お前ら、どこの所属?」
「高......高唐」
先頭に立った者が言った。
無論、高唐弁で。
「撃技か、ならばここから北東に行け」
伝令兵は遠いところの山を指した。
「ここからは四日の山道」
「匡将軍の大纛が目印を見続けろ」
言い終わったら、伝令兵が駆け出して行った。
先頭に立ったのは撃技の鎧を着ている函、後ろには斉兵の服を着ている狐毛ら四人がいる。
蕩もついてきた。
蕩には兄弟がない、母は早死にでした。
父が死ぬ前には古参の武卒で、河西で戦死。
敗戦した魏は、河西の土地が全部秦国に割譲した。そのため、魏の誇り、武卒に対する優待がかなり削った。
戦死者の子供も成人まで家の土地を引き継げず、什老や伍老が彼らの面倒をみることになった。
あのクソじじより、肉、そして金色の米粒をくれた狐毛らについていくのは遥かましだ。
蕩がそう思って歩き続けている。