98話 塩を送る
リハーサルも順調に終わり、本番の撮影になる。
タブーの〝林檎〟と言う曲は、なかなかの名曲であった。
ミドルテンポだが尖っていない訳ではない。
丈の魅力を充分に引き出せる曲だった。
先行は、タブーで、本番のステージへ上がる。
撮影が始まるとベースの工藤の音が出たり、出なかったりするのである。
工藤も宮森も撮影を止め、原因を探るがわからない。
上川はただニイに、「行ってやれ、正」そう告げるが、ただニイは、「え〜対戦相手ですよ!楽器の 準備を含めて勝負じゃないですか⁈」と食い下がる。
上川は「敵に塩を送るっていうだろ?こんな不戦勝で勝っても、キャンディあの子達の為にならない、行ってやれ正」そう、いつになく険しい上川であった。
「しょうがねえな!」そう言ってただニイは、 ステージに駆け上がった。
ただニイは、かしてみな!と言って工藤のベースを受け取り、〝消去法〟で原因を探す。
まず、ベースをアンプに直接繋ぐ、問題はない。
徐々にイクイップメントを増やし原因を突き止めるのである。
すると、エフェクターの〝フェイザー〟を繋いだ時点でおかしくなった。
ただニイは注意深く見て、原因は、パーワーサプライ電源のコードである事を突き止める。
ただニイは、自分の工具箱へ走り9ボルト電池を入れる、音が完全に復活した。
宮森は、ただニイに握手を求め、ただニイが応えると、宮森はただニイをグイッと引き寄せハグをした。
ただニイは、恥ずかしく「あの電池10万だからな!」と言い放った。
宮森は、冗談はよせと言わんばかりに手を振った。
上川の元へただニイがかえると、上川は「ありがとうな!正」と感謝を伝えた。
ただニイは「アイツいい奴かもな、ねえ社長今日勝ったら、呑ませてくださいよ!」とねだった。
タブーの演奏は、見事だった。
キャンディのメンバーもうなった。
次はキャンディの番である。
暴れるだけであると言う覚悟を皆した。




