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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
95/119

95話 スタジャンの青年

ノッポは、金曜日の午後 MCプロダクションに新しいドラマー 立花秀樹との顔合わせのために、

来ていた。

10分くらい待つと、上川に連れられスタジャンの

サラサラヘアーの一見、気の弱そうな小さな青年が入ってきた。

ノッポは、すくっと立ち、すぐに右手を差し出し、

「ノッポです、宜しく!」と握手を求めた。

立花は、おどおどした様子で、茨城訛りで、

「立花です〜」と答えた。

上川は「立花くんは、ボウヤをやっていて、スタジオで知り合ったんだ、いいバンドがドラマー探しているよっていったら、やってみたいって言ってね」

と説明する。

ノッポは自分のバンド〝イエローキャブ〟の紹介をした。ファンクを基本としたバンドで、酒癖が悪いなどもである。

立花は「はい、はい!」とかしこまっている。 

ノッポは、ドラムの腕はともかく、純朴な青年が 大丈夫であろうか?と思っていた。

上川は、「まあ、メンバーとの相性もあるだろうし、どうだろう一回スタジオに入ったみては?」

とノッポの不安そうな表情を察したのか、次の

スケジュールをいれようとした。

ノッポは、「明日 土曜日の夜 19時からどう?

自由が丘のスタジオで」

立花は「はい!いきます」と即答した。

上川は、「じゃあ、音出しってことで」

と場を締めた。

ノッポは、金曜日に顔合わせが決まった時点で、

土曜日の夜にリハーサルを入れていた。

バンドの人数が多いと、スケジュールを合わせるのがいつも大変であったが、この時は、すでに先手を

打っていたのである。立花がどうあれであった。


土曜日 スタジオ


イエローキャブのメンバーは、19時をめやすに、

ポツリポツリと集合していた。

立花は、18時にはスタジオに来ていてノッポが18時半にきてから、徐々に紹介していった。

メンバーの第一印象は、皆、立花がおとなしそうなのを心配した。

スタジオに入り、立花は昨日もらった譜面とテープである程度は、予習してきていた。

ノッポが「じゃあ、とりあえず〝ラリアット〟やってみるか?」とそれぞれ用意ができたのを見計らって声をかける。

立花は、スティックを持ちカウントを取る。

豹変した!

「ワン!ツー!スリー!フォー!」

みな、カウントの声の大きさと勢いに飲まれてしまった!

慌てて皆ついていく。

立花のドラムは大音量である!

勢いが凄い!

唄に入ったところで、イエローキャブのメンバーは

思わず演奏を止めてしまった。

立花は気弱な青年に豹変してもどり、

「あの〜なんかまずかったべか?」と不安そうに聞いた。

ノッポは「いや、逆!凄くて、俺たちがテンパった」

そう言ってメンバーを見ると皆、本気の顔になっている。

ラリアットを再びはじめる。

ノッポはキャンディの玄を〝柔〟のドラムとすると、立花のドラムは〝剛〟だな?と感じていた。

ラリアットを演奏し終わり、メンバーは大盛り上がりである。

皆、立花の側に寄る。

その日のリハは大いに盛り上がり、立花の加入が決まった。

イエローキャブのメンバーは、例に漏れず   〝歓迎会〟と称して居酒屋になだれ込んだ。


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