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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
92/119

92話 打ち止め

ノッポは午前10時、雑色駅に向かう途中のパチンコ屋の前にいた。

ドラマーを探す為に、あれこれ手はつくしていた。

スタジオに張り紙をしたり、雑誌のメンバー募集に

応募したりである。

が、一向に進展はなかった。

パチンコ屋でその日の日銭を稼ぐのが目的である。

ノッポは「今日は、彼女を昇天させられるかな?」と独り言を言い、軍艦マーチと共になだれ込む。

ノッポは〝ビッグシューター〟と言う羽根物の

〝彼女〟がお気に入りだった。

2000円で初当たりして玉を伸ばすが、今日は、

〝彼女〟との相性が悪い、後一歩で〝昇天〟打ち止めになるところだか、〝イカセ〟られない。

こんな時は、この後すねてしまい、ズルズル落ちることになる事をノッポは知っていた。

4時まで粘って3000発あまり交換し、利益は5000円ほどである。

その千円札を握りしめ焼き鳥屋に入る。

お決まりのコースである。

焼き鳥屋では、すでに仕事を終えた肉体労働者や

近所の人で賑わっていた。

ノッポはウーロンハイと焼き鳥数本、それにもつ煮も付けた。

焼き鳥屋では、ノッポはテレビに出た〝有名人〟だった。

店主からサインを頼まれたが、売れてないのでと

丁重に断った。

それでも、常連客からは、時折つまみの差し入れがあった。

今日も進展のない一日を過ごしたと、苦い心持ちでアパートに帰る。

アパートに帰ると留守番電話にMCプロダクションの上川から、メッセージが入っていた。

折り返しくれとの事であった。

MCプロダクションに20時を過ぎていたが、電話をかけた。

上川は「元気にしているかい?曲は書いてる?」

と聞かれたが、ノッポはモチベーションが落ちていることを隠した。

上川は「ドラマーの〝青山透〟さんを知ってるかい?スタジオミュージシャンの!そのボウヤに、

立花秀樹(たちばなひでき)って20歳の子がいるんだけど、叩けるバンドを探してるんだよ、今度顔合わせでも、どう?」

ノッポは、〝当たった〟と感じ暗い気持ちが一気に吹き飛んだ。

上川に会う段取りを依頼して、電話を切った。

ノッポは嬉しくなり、残った千円札を握りしめ

また、焼き鳥屋に向かった。


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