84話 スパイ
翌日 水曜日
美々は桜木町の駅で昨日のギターの青年を待っていた。
22時半を回ったが現れる気配はなかった。
もしやと思い馬車道のゲームセンターに向かった。
ゲームセンターに着き、中を探すがいない。
美々は勢いにまかせカウンターにいき、
店員さんに「あの、ギター持った長髪の人今日来てないですか?」と聞いた。
店員は「あ、彼、最近来てないな 閉店までいるから来てたらわかるよ。」
「え?昨日居ましたけど、私も閉店までいたし!」
と美々は意味がわからなかった。
店員は「君が閉店までいたのは、知ってるよ 紫の髪だから覚えてる。」
美々は「おかしいな?居たんだけどな」
店員は「彼 長岡慎一っていうんだ、前に財布落として警察に届けたから知ってる。ねえ君高校生じゃない?補導されちゃうから帰りな」
美々は頭の中が〝?〟になったが、
なんとか詞は書けそうになってきた。
風と咲は学校の図書室でもがいていた。
なかなかアイディアが浮かばないのである。
咲は「なんかないの!風!」
風は「作詞はまかせるよ、いっそ咲のお父さんが
〝殺し屋〟かなんかだったらミステリーなんだけどな」
咲は「うちのパパが〝殺し屋〟の訳ないでしょ!
せいぜい〝スパイ〟よ!‥〝スパイ〟っこれよ!」
と言い咲は、一心不乱に筆を走らせた!
パパはCIA
パパの仕事は輸入雑貨の買いつけ
多分それは仮の姿
私の推測が正しければ
パパの仕事はCIA
私見ちゃったの
午前3時にお家の前で
外人さんに何か渡していた
多分 多分 多分 CIA
きっと きっと きっとCIA
絶対 絶対 絶対 CIA!
そんな詞だった。
風に見せると風は目をつぶり、足でカウントをとっている。
目を開けて「書けそうだ 帰るよ」
咲「あとお願い!」
2人は図書室を後にした。