76話 非常階段
1月31日 土曜日 工場にて
キャンディのメンバーは日曜日の収録に向けリハを行っていた。
風と咲で書いた〝聖火〟である。
君の体から登る
白く輝く気
今日の闘いの舞台へと
勇気出して今 駆け上がる
体踊らせて 伝えるんだ
心に聖火を今灯して
目の前の壁を今 乗り越えて
聖火はサビの部分に合いの手で
〝ye-e ye-e〟と全員でコーラスが入る。
出来た。
風「なんとか間に合った〜」とへたり込んだ。
玄は「よし!残れるかわからないが、ベスト尽くそう!」
咲は「私の唄がいいから大丈夫よ」と自信満々である。
サギは「明日8時半に集合だよ」と案内する。
皆、わかったと答え前日のリハを終了した。
翌日 鷺沼不動産
キャンディのメンバーは時間どうり集合し、 鷺沼大介の車に乗り込んだ。
千葉北インターから東関道に入り京葉道路に入る。
メンバーは皆、他のバンドの噂をした。
どのバンドが優勝するかなどである。
順調に大介のキャラバンは進んでいたが
篠崎を越え首都高に入ったところで、ピタッと
止まってしまった!
30分たっても、数メーターしか動かない!
キャンディのメンバーも鷺沼大介も焦り出した。
大介は「これだけ動かないって事は事故渋滞かもしれないな!マズイぞ!」
良は「走っていくしかないか⁈」とテンパっている。
玄は暫く考え込み「よし!皆んな楽器を持って 非常階段から降りよう、それから駅を探して
六本木まで電車でいこう!」
風も「それしかない、みんな動こう!」
5人がバタバタと動きだすと、大介は財布から3万円
取り出し「これ持っていきなさい!電車は乗り換えで迷うかもしれないぞ!タクシーを拾った方が早いかも知れん!〝下〟の道は空いているかもしれないぞ!」そう言って息子のサギにお金を預けた。
高速道路で皆楽器を背負い、非常階段を目指した。
非常階段を見つけた。
玄、良、サギと降りていく。
咲は階段を見下ろして足がすくんでしまった。
「咲、降りよう!」
「ダメ!アタシ高所恐怖症よ!」
風と咲は高速道路の非常階段で動けなくなった。