51話 郵便物
10月17日 金曜日
玄が、キャバレーのドラムの仕事を終え家に帰ると
兄 山倉 正志から、
郵便物が届いていることを、知らされる。
MCプロダクションからである。
開封すると、手紙とカセットテープ5本であった。
兄 正志は、「この前の曲か?」と聞いてきた。
正志は、〝族〟を卒業し建築現場で、鉄筋工をして家計を支えていた。
「玄 音楽やるのはかまわないが ちゃんと勉強して、資格取るのも忘れないでくれ 音楽で一生食べてくなんて難しいのは、親父見ててわかったろ」
玄は、「それは、解ってる 只 今はやりきりたいんだ!すまない兄貴」
そう言ってキャンディのメンバーには、時間が遅い為、明日の午後電話する事にした。
風が、学校から帰ると、〝キャンディ連絡網〟が回ってきていた。
先日のミックスダウンが終わりテープが届いた
今日は、練習中止でサギの家で試聴会を開くとのことだった。
風は、仮ミックスでも大満足し毎日繰り返し聴いていたが、ミックスダウンしたものがどんな仕上がりか楽しみだった。
夕方 鷺沼家
キャンディのメンバーは夕方6時に集合した。
サギの母鷺沼 花子が食事の用意をしてくれ、鷺沼大介と皆でハンバーグを食べた。お米が洋皿に乗っていて、風、咲、良は
ナイフとフォークを使うのにわずらった。
食事も済み、皆でオーディオセットの前に座り
テープをかけた。
皆 音質の良さにビックリした。
プロの音源と比べても遜色なかった。
皆、自分達のオリジナルに酔った。
翌週 月曜日 学校にて
風は、給食を食べていた。校内放送が流れている。
DJの2年の斉藤さんが
「次は、凄い曲が手に入りました!キャンディで
〝ジャブジャブ博士〟」
とジャブジャブ博士がかかる!
風は、飲んでいた牛乳を吹き出した!
校内は大盛り上がりである。
そのあと〝太陽のラジオ〟もかかった。
一番恥ずかしがったのは、咲だった。
「止めて〜」とみなからの声援に照れていた。
放送が終わり 風、咲、良、サギは職員室に呼び出された。
良は、「ヤバイよ説教だよ」と皆おそれながら、揃って職員室に向かった。




