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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
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5話 グレコのレスポールと告白

風、咲、良は、7月になり一学期を終えようとしていた。

咲は、相合傘事件からすっかり変わってしまった。

目つきも鋭くなり、今までみたいな陽気な咲は

影を潜めてしまった。

その事を風も、良も気にかけていて、

2人とも積極的に話かけてはいたが、生半可な返事か、「ほっといて」という冷たい言葉で終わっていた。

そんな7月のある日 いつものように 風と良は

〝ひまわり〟に立ち寄った。 

店主の俊が2人の顔を見るとすぐに

「風、良!これ見てみな!これはいいぞ!」

と楽器コーナーに飾ってある

黒のレスポールカスタムをみせた。

俊は、「これ、グレコのオールドだぞ、キズはチョイあるが、鳴りがいい!ネックも反ってない

近所のおじさん あっまあ俺と同じ歳くらいだが

蔵って(しま)あったの売りにきたんだよ!2万で買い取った。お前らだから、値段バラすけど3万で売りに出そうと思って」

風は、見入ってしまった。

シーナ&ロケッツの鮎川さんのギターみたいだった。

風はいずれギターが欲しいと思っていたが

突如として現れた。

風は「3万ですか?うーむ」と悩んでしまった。

俊は、「お前らだったら2万でいいよ、調整 磨きもサービスだ!ん?これ商売か?」

と俊は、クスクスと笑いだしてしまった。

風は、「買った!でも買うの夏休み終わってからで

いいですか?」と聞いた。

良は、横で「すげ〜」と言って風のものに、なるであろうギターを眺めている。

風は、「夏休み家の工場の手伝いして、お金作ります 2学期がはじまるまで取っといて下さい。」

俊は、「いいよ!まあちょっと触ってみたら?」と勧めると

風は椅子に座ってギターを持ってみた。

手に汗をかき、心臓がドクドクしてきた。

「カッコイイ!高見澤さんか?鮎川さんだな」

良が冷やかす 2人とも既にロック少年になっていた。

風と良は、俊に再度確認し、〝ひまわり〟を出た。

出て良と盛り上がっている風に、 

2人の女子の同級生が近づいてきた。

同じクラスの 有村と荒井である。

有村は、荒井にせっつかれて、ビクビクしながら

風の前まできた。

有村由美 同じクラスの静かな女の子で

〝デュランデュラン〟が好きなのは知っていた。

以前休み時間に音楽の話をした事がある。

有村は、「あの〜あの〜 ‥好きです!好きなんです!付き合ってください!」と必死で風に言葉を

発し、すぐさま荒井の後ろに隠れてしまった。

荒井は、有村をよしよしとなでている。

荒井は、ハッキリした性格で

何も、言葉を発せず唖然としている風に向かって

「どうなのよ!由美が勇気だして告白したじゃない!なんとか言いなさいよ!」と啖呵(たんか)をきった。

風は、とっさに、咲の顔がうかんだ。

咲の事が好きなのは、なんとなく認識していたが

相合傘事件以来変わってしまった咲を助けなきゃ

と言う思いがつよかった。

瞬間的に、有村と俺が付き合えば、周りからの

疑いも消え 咲がもとにもどるのではないかと思ってしまった。有村の気持ちを軽く考え‥

「うん いいよ 付き合おう」

そんな簡単な返事だった。

有村と荒井は、キャッキャッと盛り上がり始めた。

うかなかったのは、良であった。

なにせ、もう6年も風と咲を応援してきたのだから。

荒井に急かされ、風と有村由美は一緒に帰った。

普通なら、ギター、彼女を手に入れた日だ

天にも登るところであろう。

だか風は心ここに在らずだった。


翌日 風と有村由美が付き合う噂はすぐに広まった。

顔色を一番変えたのは、咲だった。

風の思惑は、全く正反対へ進み

咲は、すぐさま、先輩不良グループと連む(つる)ようになった。

髪を茶色くし、ピアスを空けた。咲が夏休み明けには現れる事となる。


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