47話 登場
期限最終週
玄のカウントでリズムインする
イントロは、サギの切ないフルートのメロディではじまる。
太陽のラジオである。
咲の詞に従うようバンド全体が離れ離れの男女の 悲哀をかなでる。
疾走感を伴って。
良がラジカセのポーズボタンを押す
玄「出来たな」
サギ「出来た」そう皆、落ち着いた口調で感慨に浸る。
咲の切ない詞が、シリアスな雰囲気を作っていた。
良「ヒットしたら、美香ちゃんと海外旅行行こ!」
そんな冗談をいうと、
咲が「ハネムーンね!」とからかった。
場は和んだ。
皆は、明日10時、八千代台集合を確認し、
その日のリハは終了した。
MCプロダクション 応接室
上川英二がキャンディの新曲〝太陽のラジオ〟を聴いて目を細めている。
キャンディの5人は、自信あったが何と言われるか
不安であった。
曲が終わると上川は「作詞作曲は、咲ちゃんと風くんかい?」と聞いてきた。
風は、「そうです!」と答えた。
上川は「いいね!咲ちゃんの、悲しみ、希望が入り混じったいい詞だし、メロディもそれになぞって雰囲気をだしている。アレンジも合格だ!」
5人は皆明るい表情をし、胸を撫で下ろした。
上川は続ける「正直、先月〝宿題〟を出した時は厳しいかな?って思ってたんだよ でも皆んなは
プレッシャーを越えこの曲を作った。素晴らしいよ」
5人は締め切りのプレッシャーを味わった。
プロはこんな〝産み〟の苦しみを感じているのかと
知った。
上川は「そんなキャンディに更に成長してもらうために、今回のレコーディングに〝鬼〟プロデューサーを用意したんだ!厳しいぞ!」
そう言うと、ノックがした。
「噂をすれば、来たみたいだね、どうぞ」
そう言うと扉がバタンと開いた!
「みんな久しぶり!」
『番長さん⁈』
番長は、「鬼プロデューサーの〝番長〟です
ガハハ!」と巨体と長髪を靡かす
笑っている。
番長とは、千葉県大会でキャンディの為に反乱を
起こしてくれて以来であった。
上川は、「僕もね、考えたんだよ 誰がいいかな?って それでねあの時あれ程〝キャンディ〟を応援してた、番長さんがいいかな?って思って声かけたら、番長さんが是非やってみたいって引き受けてくれてね!」
番長は、「おまえらシゴくのが楽しみだよ!」
風は「ありがとうございますあの時は!良かった〜番長さんで」口にし他のみんなも安堵した。
番長は、「俺は厳しいぞ!俺で良かったなんて
直ぐに後悔させてやる!ガハハ!」
また、大笑いしている。
レコーディングは、10月11、12日に決まった
11日がリハで12日にレコーディングである。
上川は、「11日東京に泊まっても大丈夫かい?」
と確認しみなは、大丈夫ですと答えた。
キャンディのメンバーは上川の粋なはからいに感謝した。