40話 詞
風は、出来た〝ジャブジャブ博士〟をラジカセで録音した。
まだ、歌のメロディにギターの荒いバッキングだけである。
午後の3時であった。
〝ひまわり〟まだ空いている。俊に聴いてもらおう!
そう思い、自転車ですっ飛ばした。
「俊さん!これ聴いてください!」そう言ってカセットテープを差し出す
「なんだ⁉︎もう出来たのか?そりゃ優秀な生徒だな!」そう言って俊はカセットテープを受け取り
〝ひまわり〟のオーディオで掛けた。
俊はタバコを吸いながらうなずき、聴いている。
演奏が終わり俊は、「メロディ捕まえたみたいだな!良い曲だ!詞もおもしろい!」
風は、「ここからどうしたら、レベッカみたいになるんですか?」
俊は、頷きながら、いくつかのアドバイスをくれた
まず咲のキーに合わせることだ。
そう言ってテープをもう一度かけ、ササッと譜面におこしてくれた。
アレンジについても、ギターが主役ならG D Aなどのシャープ系のキーをすすめられた。
風は、ありがとうございますと伝え、俊の書いてくれた譜面を大事抱えて帰った。
風は、キャンディ〝連絡網〟で早急に練習したいと連絡をまわした。
8月28日 木曜日
バンドのみんなが集合したところで、風と咲で
ジャブジャブ博士を披露した。
玄が「良い曲だ!風が書いたのか?」
風が「うん!」というと咲がよこから
「詞がいいでしょ⁉︎詞私!」と手を挙げる。
良も「うん!良い曲だ!」と珍しく風のことを
持ち上げた
咲が「詞がいいでしょ!詞が!」
サギ「良いメロディだよアザレア」
皆んなから誉められ風は嬉しくなった。
咲が地団駄を踏み
「詞がいいでしょって言ってるの!」
4人は『詞が凄くいい!』と声を揃えた。
玄のリードでアレンジを皆で相談する。
イントロはギターリフからはいることになった。
リズム隊の玄と良は、相談している。
サギは咲にかぶせるハーモニーを考えている。
玄が、「この曲出来上がったら、MCプロダクションの上川さんに聴いてもらおう」と提案した。
皆賛成した。
アレンジはゆっくりではあるが、形をなしていった。