25話 俊の苦悩
風と咲は、ライブの報告を兼ねて〝ひまわり〟へ久しぶりに寄った。
俊は、開口一番「おう!ライブどうだった?
悪いな親戚の結婚式と重なっちゃって」そうにこやかに迎えてくれた。
風は、「バッチリ!」そう言って咲とハイタッチしてみせた。
俊は、それを見て深いため息をついた。
「お前らいいな〜」
風は、「なんかあったんですか?」と聞いた。
俊は、「いやな、〝大越純子って知ってるか?そこそこ売れてるロック系のシンガーなんだけどさ!ツアーのオファーがきたんだよ、ギター弾いてくれって こっちは、約3年も現役離れてるし、この店もあるし、無理だって
断ったんだけどな、嫌でギター辞めた訳じゃないしな‥」
咲は、「やればいいじゃないですか!この店くらい
あたしと風で見ますよ!」
俊「咲ちゃん、こう見えてもな、店番してガム売ってるだけじゃないんだよ、新学期だし、運動会もある、先生との打ち合わせや仕入、納品とやる事は
沢山あるんだよ、小学校も中学校もだしな」
風も「諦めないでください!なんとかなりますよ!
ギターまた弾いてください!」
俊「嬉しいこと言ってくれるね、まあ、後戻りはしないさ、俺には俺の人生がある。」
そう言って新しく仕入れたエフェクターの話に切り替えた。
風と咲は一緒に帰りながら、「誰かいないかね〜」と心配していた。
翌日〝ひまわり〟にて
俊「山田〜⁉︎あの金髪の山田か?」
咲は「そうです山田先輩です 山田先輩 中学卒業して大工の見習いやってたんですけど、先月辞めちゃってヒマしてるみたいなんですよ、尺とか寸とか
わからねえって 山田先輩 社会にでてだいぶ変わりましたよ、どうでしょう?」
俊は、「山田か〜まあアイツなら先生に顔も効くしな、だけどアイツキレやすいからな〜」
風は「実はもう呼んでるんです!山田先輩〜」
「ご無沙汰してます!」
坊主頭で黒髪の作業着姿の山田先輩が入ってきた。
俊は、「山田〜元気にしてたか?少し痩せたんじゃないか?」と話かけた。
山田先輩は、言葉使いも、大人になっており、
金髪の山田先輩の面影はなかった。
俊と山田は、20分ほど話し
俊は、「じゃあまず2、3日やってみよう!出来そうだったら、引継ぎだ!3か月くらいだが宜しく頼むよ!」
そう話はまとまった。
風と咲は大喜びした。
結局山田は、引継ぎをして、店を任された。
俊は、3か月間ギタリストに復帰した。




