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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
23/119

23話 VIP席

本八幡ルートフォーティーン 14時


会場がオープンの時間である。

楽屋で〝キャンディ〟のメンバーは待機していた。

玄以外の4人は、死刑執行をまつ罪人のように

只怯えていた。

玄には、その気持ちは、よくわかっていた。

自分の初ステージもそうだった。

玄が「みんないいか?命取られる訳じゃないんだ

もし、負けがあるとしたら、それは楽しめなかったヤツだ!楽しもう!音をはずそうが、歌詞が飛ぼうが関係ない!ただ止まるな!音を出し続けるんだ!

楽しもう!」

そう激を飛ばす。続けて「衣装に着替えて、お客さんに挨拶にいこう!」

そう言って玄は客席へ出ていった。

風、咲、良、サギは、覚悟を決めた。

〝楽しもう〟それが全てであった。

出来の良し悪しなんて関係ない。

望むものは、本人が楽しんでその〝楽しい〟と言う

感情が波になり、会場を埋め尽くすそれがライブの本質であった。


風、良、サギは先に着替えて、咲の着替えに楽屋を

譲った。

おのおの、チケットを買ってくれた。お客さんに挨拶に行く。

そのんな中衣装に着替えた咲が客席に登場した

赤のミニスカート、赤の白のフリルのついた

ジャケット、白の編みタイツである。

周りの人々は、その艶やかさ、美しさに一気に注目した。

ヒロインである。


客席は、満員御礼で立ち見すらキツイ状況であった。

開演10分前

〝キャンディ〟のメンバーは楽屋へもどり、

風、良はチューニングを確認している。

時間になった。

メンバーが集まり円陣を組む

風の掛け声「いくぞ!」「オー!」と

ビートルズのカムトゥギャザーをバックに薄暗いステージへと、5人が登場する。

客席からは、歓声があがる!

「咲〜」「坊ちゃん〜」などである。

メンバーが定位置につき、静寂が訪れる。

5人は、視線を合わせ頷く!

玄が、ビートを刻みはじめる

ドン タン ドン タン

ステージの照明が付く

眩い光に照らされ〝キャンディ〟の5人が浮かび上がる。

咲は、「こんにちは〜〝キャンディ〟です!

今日は、来てくれて ホントにホントにありがとう!」そう言うと客席とコールアンドレスポンスが起こる。

「私達!なんか!いろいろあって!今日スタートをきります!聴いてください!レベッカでフレンズ!」

その言葉を皮切りに、玄がカウントを叫ぶ

「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!」

フレンズのイントロが始まる!

咲は、踊る!舞う!

その姿は、(さなぎ)が蝶へ孵化(ふか)する瞬間であった。

風は、激しく、玄は、全体を気にし、良は、楽しみ

サギは、カッコつけて

そんなライブであった。

ステージも最後の曲〝メイ ビー トゥモロー〟になった。

咲の唄 


だけど明日は、きっといい事

あると信じていたいの

メイ ビー トゥモロー


と会場に響き渡る

会場の明かりがつく、

風のギターソロである。


風は弾き始める瞬間

照明の付いた会場の隅に由美をみつける!


風は〝由美だ!〟

風はそんな思いを携えギターソロを弾いた。

曲が終わり大歓声に包まれる中

走って逃げ出す由美がいた。

風は、ギターを置きステージを飛び降り由美を追う!

ビルの出口で由美に追いつく

「由美!」

由美は振り向き

「ごめん、来ちゃった‥良かったよ 特に咲ちゃん

横山くんは、間違い多くてまだまだ練習だね」

そう言って涙をこぼさないよう している。

由美は、続けて

「慰謝料ちょうだい!」

風は、「慰謝料⁉︎」と面食らっている。

由美は「横山くんが、もしプロになったら

初ステージのVIP席 2枚 それが慰謝料‥

その時の、彼氏か旦那さんといくの!

そして、あのギターの人が私のファーストキスの

相手よって やきもちやかせるの!

いいでしょ それくらい?」

風は、「わかった約束する。プロになるよ」

そう言うと

由美は、「良かったよ 横山くんのギター

じゃあね、バイバイ」

と駅の方へ向かっていった。


夕方

ステージを終えた〝キャンディ〟はファミリーレストランで打ち上げを行なった

ギャラも2万円ほどあり

皆でライブの成功を祝った。


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