17話 キャバレー
山倉 玄は千葉行きの京成バスに乗っていた。
最寄りの駅 八千代台からは、津田沼にでないと
千葉に出られ無い為である。
1つ目の停留所で、玄の同級生3年の梶原を先頭に男5人女2人の〝ツッパリ〟グループが乗ってきた。
玄も〝ツッパリ〟であったが決して連まず〝1匹狼〟であった。
玄は、バスの最後尾に座っていたので良く見えた。
上杉咲もその中にいた。
時間は、夕方の6時を回っていた。
梶原達は、真ん中辺りに陣取った。
何やら騒がしいが、あえて玄は気づかない振りをしていた。
すると咲が玄に気づき「あ〜玄先輩だ〜玄先輩〜」
と後部座席にきて絡んできた。
玄は、「うるさい。あっちいけ ?お前酔っているのか?」
咲は、「上杉咲酔っ払ってません」と敬礼した
そのあと笑いだした。
明らかに酔っ払っている。
「玄先輩 アタシ達 ボーリングいくんだよ〜
ね〜一緒に行こうよ〜」と玄にまだ絡む。
玄は、「俺は、バイトだ いけない」
咲は「え〜バイト〜いいな〜咲にも紹介して?」
そういいながら、手摺につかまり揺れに耐えている。
玄が無言でいると、咲はしつこかった。
「何処でバイトしてるの〜教えて」
余りにしつこかったので、玄は少し感情的になった。
「家は親父が死んでるから進学したいならバイトしなければならない。死んだ親父のツテだから俺は
特別、ガキには無理だ キャバレーだ!」
少し声が大きくなったせいで梶原が出張ってきた。
「おい、山倉!兄貴がいるからって調子に乗るなよ」と脅してきたが、
玄は、動じない。
「じゃあ、降りるか?二度とボーリングできないようにしてやるよ 5人くらい楽勝だ。」
そう言って本気で降りる様子を見せて停車ボタンを押した。
梶原は、たじろいだ。玄のケンカの強さは痛いほど
知っていた。
目を逸らしながら「いいよ 俺たちは用事があるんだよ」そう言ってその場から離れた。
キョトンとする咲に玄は、
「酒は辞めろ バンドでもやってた方がよっぽどマシだ」そう諭すと
咲は、「玄先輩は何にも知らないの〜」
梶原の方へ戻っていった。
玄は、スティックバックを持っていた。