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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
116/119

116話 電話

翌日、キャンディのメンバーは、大阪公演を終え、車がまだ返ってこなかったので、石黒と共に新幹線で帰路についた。

ただニイは、名古屋で降り、上川の元へむかった。

風も、咲もトラブルはあったものの、ライブの内容に満足していた。

良は、静かにしないといけない状況になると、騒ぎたくなるたちであったため、いたずらが際限ない。

車内販売のお姉さんにビールを注文したりである。

当然、販売しているお姉さんにかるくあしらわれ、皆に引かれるなどである。

ただ、楽しさを隠せない〝新高校生〟達であった。

そんな中、車内に呼び出し放送がかかる。

〝東京からお越しの、横山 風様、車内電話がかかってきております、乗務員までお知らせください〟

との内容だった。

風はキョトンとした。

何故自分に新幹線に電話がかかってくるか、わからなかった。

石黒に案内され、乗務員を探した。 

石黒に促され、風は、乗務員に申し出て、電話まで案内してもらった。

電話の相手は、父、横山和彦であった。

「親父どうしたの?どうして、電話番号わかったの?」と聞いたが、和彦は開口一番に、

「とにかく落ち着いて聞いてくれ‥母さんが倒れた

今、救急車で〝千葉脳神経外科〟にきている

手術中だ、どうも脳梗塞らしい、もしものこともあるから、東京から真っ直ぐ病院に向かってくれ

稲毛駅から、タクシーにのれば着けるだろう

咲ちゃんは、側にいるか?」

そこまで聞いて、風は受話器を持ったまま座り込んでしまった。

「いる」

一言言うのが精一杯だった。

「咲ちゃんについて来てもらえ、お前一人じゃ、不安だ わかったな 風」

しばらく沈黙のあと、風は〝わかった〟とだけ伝え

電話を切った。

石黒に説明を求められるが、うまく伝わらない。

咲のいる、席まで二人は戻り、咲の通訳により、

ようやく石黒は事態を把握した。

石黒は、「東京から、快速ですぐに向かって!

楽器はこっちでなんとかするから!2日後の

〝東京〟も危ないわね‥わかった!オッさんさんに

全曲コピーさせとくわ!バンドサバイバルの借りがあるんだから、嫌とは言わせないわ!」

普段穏やかな石黒だが、いざとなると上川ばりの

やりくりを見せた。

東京に着くと、皆の心配を背に、風と咲は千葉行きの快速へ走った。

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