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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
106/119

106話 卒業式

3月中旬 村上中学校にて


風、咲、良、サギは中学校を卒業する。

中学に入学して、〝ひまわり〟で俊に出会い、音楽に明け暮れた3年間であった。

キャンディのメンバーは、様々な体験をし、中学生中心とは思えないほど活躍をした。

ドキュメンタリー番組が卒業時式にくるほどである。

学校の中でキャンディを知らない者はいないのは

当然ながら、付近の学校や父兄まで巻き込んでいた。

卒業式は、一学生として、参加する4人であったが、周りはそうは見ていなかった。

将来はバンドで成功するに違いないという期待を

キャンディに背負わせていた。

式は、無事閉幕した。

おのおの卒業証書をもらい下校する。

そんな様子をカメラは追っていた。

テレビ局の人は、誰かにキャンディの事をインタビューしたいと考え、よりによって有村由美と荒井に声をかけた。

テレビ局の人は、有村由美に「キャンディの事は知ってますよね?」と聞いたが、知ってるも何もである。

由美は、「ええ、知ってます、応援してます」と気丈にも答えた。

さらに「キャンディの中で誰が好きですか?」の問いに荒井がキレた。

「誰が好きも何も、この()はねえ!」

それを由美は遮った。

「ギターの風くんは、人気があるから良くんかな?」と答えた。

テレビ局の人は「最後に、キャンディにメッセージお願いします!」といわれ、

『頑張って!応援してます!』と泣きそうな由美と

ふくれつらの荒井が画面には、映った。


由美と荒井は体育館の裏にいき、泣く由美を荒井が

慰めた。

「よく頑張ったね!支えた元彼女って言ってやりたかったよね!」と荒井は言うが、由美は顔を左右に

振り、「だって、だって‥」

それ以上は言葉にならなかった。

風は後にテレビの放映で由美の事を知る。

だが、いまさらかけられる言葉も、ありがとうの一言も伝えられなかった。


キャンディは中学校を卒業した。

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