105話 リハーサルの撮影
3月7日 土曜日 工場にて
午後3時頃から、毎朝テレビのスタッフが大勢、風の家の工場に押しかけた。
照明や機材をセッティングし、リハーサルが始まるのを待つ。
風は父、横山和彦に了解を得て、土曜日の社員さんの仕事を3時で上がってもらっていた。
まず、オリジナルを数曲リハーサルする様子を撮った。
カメラの台数の関係か?同じ曲を何度も演奏し、カメラ割りを変えていた。
それから、メンバーそれぞれ、インタビューにはいる。
キャンディが誕生した経緯などである。
風は、〝ひまわり〟の俊の存在は無しでは、話が成り立たなかったので、詳しく話した。
テレビ局のひとは、〝ひまわり〟にも後日、 インタビューに行こうと言う話になった。
咲が、当初からいて、〝万引き事件〟で復帰したことについては、口裏をあわせ、万引きのことは、伏せた。
時間は夜7時になり、テレビ局のひとから「みんな、お腹すかない?普段どうしてるの?」
と聞かれると、咲は「普段は、私が風くんの家の台所借りて夜食作っています!」と見栄をはり、嘘をついた、普段は食べていないのである。
テレビ局の人は、「あっ、夜食食べてるシーン撮りたいな!」と言い出した。
咲は、後に引けない状況になった。
風に、耳元で「大丈夫かよ、料理できるの?」 と心配された。
咲は「大丈夫よ!おにぎりぐらいできるわ!」と
答え、風の母、横山美枝子に昆布と、おかかをだしてもらい、おにぎりを作り始めた。
テレビもその様子を撮影するが、あきらかにぎこちない!
心配するメンバー4人の元に、咲が「おまたせ〜」とおにぎりを持ってくる。
良が「お!うまそう!いただきます!」と先に手をつける。カメラは回っている。
良は、一口食べた途端、泣きそうな顔になったが、
「ウマイ!」と言って食べ、皆に勧める。
風、玄、サギも続いて食べるが、食べると、皆泣きそうな顔になるが、カメラは回っている。
咲はおかしいな?と思いつつおにぎりを口にする。
〝マズイ!やっばっ、塩と砂糖間違えた!〟だがカメラが回っているところで、吐き出す訳にもいかなかった!
5人は非常にマズイ〝砂糖むすび〟をカメラの前で
〝ウマイ〟と言って食べなければならず、過酷な撮影になった。
撮影終了後、咲が皆に責められたのは、言うまでもなかった。




