101話 密漁
バンドサバイバル 放送日 翌日
林 文子はまた、校門前で玄を待っていた。
先週と同じく、昼過ぎに玄は一人で校門から出てきた。
文子は、「玄様〜」と大声をだして近づいてきた。
玄は「ちょうど良かった ライブやるんだよ、あっテレビ見てたら知ってるか?」と話すと文子は、
「知ってます!東名阪全て追っかけます!」と鼻の穴を大きくして断言した。
玄は、「だって、文子ちゃん中学生でしょ!お金とか?泊まりとか大丈夫なの?」と余計なお世話かもしれないが心配になった。
文子は、「全部いかないでどうするんですか?曲だって変わるだろうし、前はレベッカのコピーもやってたんですよね!アクシデントとか見逃したくないんです!」
玄は呆れた様子で、「東京だけにしたら?」と宥めると、文子は「お金は、大丈夫!私、ちっちゃい頃から〝海女〟老婆ちゃんに仕込まれて、あわびとか?いざとなったら密漁でもやりますよ!」
玄は「密漁⁈だめ、だめ、そんなことしたら、密漁なんかしたら、口聞かないよ!」と言うと文子は
泣きそうな顔になり、「嘘です!嘘です!密漁なんかしません!だからシカトしないでください!」
そう玄にすがった。
玄は「密漁だめだからね!」と念を押した。
文子は「解りました!ご法度かも知れませんが名古屋の〝入り〟時間だけでも教えてもらえませんか?」と聞いた。
玄は、「確か当日の13時だよ」と言うと、
文子は、「ありがとうございます!」と言ってバス停の方へ走っていった、と思ったら引き返してきた。
「密漁しませんから!」とウィンクして、煙を出して走って行ってしまった。
玄は心配になった。




