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ドミナントフレンズ  作者: 霞 芯
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1話 ショーケースのレスポール

横山風は、幼なじみで同級生の上杉咲、松浦良と

文房具店〝ひまわり〟の前にいた。

文房具〝ひまわり〟は、村上小学校、村上中学校とならんでいる場所の側にある。

なりやら〝ひまわり〟は改装中である。

なかから、大工さんらの騒がしい工事の音が聞こえる。

(ふう) (さき) (りょう)

幼稚園からの幼なじみで、春休みが終われば

村上中学校の1年生となる。

咲は、思春期の女の子の様相を呈して(てい)きて、サッカーや野球に3人で遊ぶ世界から、旅立つ時期だった。

風と咲は、空の上からみれは、両思いであったが、

喧嘩ばかりしていた。

そんな二人を取り持つのが、穏やかというか

とぼけた良であった。

文房具店〝ひまわり〟は、昔から村上小学校、中学校に、体操着やら文房具を納品し生業(なりわい)としてきた。

また昭和の文房具店の例にもれず 駄菓子、オモチャ(コマ、メンコ)ガンプラなども置いてあった。

そんな小中学生の溜まり場だった。

その〝ひまわり〟が改装中である。

中から「ちょっと違うんだよな〜 なんかさ〜

スペシャルにしたいんだよね〜それだけは」

と高い陽気な声が聞こえる。

「俊さん こんな感じですか?」

と職人さんの声も聞こえる。

「グレイト!」なかで細身の長髪の男性が

小躍りしている。

3人は、入口から中を覗きこんでいた。

馴染みの店の中の一角に、ライトに照らされた

畳2畳程のスペースが出来ていて、

その中央に、ショーケースに入った金色の

ギターが飾ってあった。

長髪の俊は、最初の客人の3人に気づき

「お!グレイトだね〜、僕達こっちおいで

あっ釘とかおちてるかもしれないから

足元気をつけてね」

と風、咲、良を招き入れた。

風は、長髪をなびかせる俊に

「おじさん、ここ文房具店じゃなくなっちゃうの?

おじいちゃんとおばあちゃんは?」

と馴染みの店がなくなるのが怖くて聞いた。

「ノッ、ノッ親父とお袋は引退、歳だからね

文房具店なくならないよ、ただね、俺楽器好きだから、ちょっとコーナー作ったの!お年玉貯めて

楽器もどうぞ!」

とにこやかに笑っている。

3人は、ショーケースの金色のギターに見入っていた。

札が付いていて〝レスポールDX 1970年製 30万円〟

と書かれてある。

俊は、「売りたくね〜俺の青春だからね、でも売らねーとな!」と言って頭を掻いている。

咲が「あーっ〝少年座〟のブロマイドこんな隅っこにー」と声をあげた。

俊の目つきが急に厳しくなり

「はぁ〜〝少年座〟?シカトシカト捨てたいくらいだよ」そう言って不機嫌になってしまった。

そんな時外がバイクの音で騒がしくなった。

7、 8台のバイクが停まり

騒がしく「俊さんおめでとうございます」とツッパリがなだれこんできた。

3人は怖くなり、店を出ようとすると、

奥から俊が3人に、

「春休み終わったらオープンだから、また来てね〜」と声をかけた。

風は、「はい!」とだけ返事をして足速に店を出た。

店の外に出るとヘルメットを持った背の高いパーマをかけたキツネ目の

少年が立っていた。

少年は風達に、「お前ら中1になる奴らか?

〝村中〟舐めんなよ」とガンを飛ばし

中へ入っていった。

風、咲、良は、憩いの場所の〝ひまわり〟が

何か変わってしまうようで怖く寂しかった。


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