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プロローグ
プロローグ
「人生の採点ってやつをどうやってするか、わかるかい?」
君は真っ白いベッドの上で僕にそう訊ねた。
僕が「わからない」と言うと君は言葉を続けた。
「人は死ぬ間際に人生を採点するんだ。もし、死ぬ瞬間にもう一度自分に生まれてきたいって思えることができたなら、きっとその人の人生は素晴らしいものだったんだろうなって思う」
君は儚く微笑みながら確かにそう言った。
そんな君の姿を見ていたら胸が詰まってしまって、僕は「君はもう一度自分に生まれてきたい?」という質問を口に出すことが出来なかった。
それから数日もせずに君は僕の手の届かないところに逝ってしまい、結局、僕はその答えを聞くことが出来なかった。
だから、僕は想像する。君が今際に何を思い、何を考えていたか。
そして、僕は考える。自分が死ぬ時にもう一度自分に生まれたいかってことを。
ただただ、考えるんだ。