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3-5:事情説明 上

「はぁ……にわかには信じがたいけれど。そう、真剣な顔で話されちゃあね」


 話が終わると、エルが腕を組みながら怪訝そうな顔をしている。


「でも、なんで最初から、本当のことを言わなかったの?」


 なるほど、話の真偽よりも秘密にしていたことが癪なタイプか。


「いや、あの森で出会って早々、異世界から来た上に記憶も無いんですなんて言ったら、怪しさ満点どころの騒ぎじゃないだろう?」

「……まぁ、確かに。良くて無視、下手すれば切っていたかもしれないわね」

「相変わらず物騒な奴だなぁ」

「物騒は余計よ……でも、記憶喪失ってだけでもあり得ないのに、勇者のように異世界から来たなんて言われても、簡単にそうですか、とは言えないわよ……何か証拠があればね」

「証拠かぁ……クラウには、傷の治りで信頼してもらったんだが……ソフィア?」


 ふと、ソフィアのほうを見ると、俯いて何か考え込んでいるようだった。そう言えば、いつもなら積極的に話に絡んでくるのに、今は妙におとなしい――と思ったのも束の間、パッと顔を上げてこちらを向いてきた。


「アランさん! 私、シンイチさんに異世界の話を聞いたことがある! だから、この世界にない、シンイチさんと同じ知識があれば、異世界から来たって証明になると思う!」


 ソフィアはやや興奮気味にそうまくしたててきた。もしかすると、確実な証拠を思いついてテンションが上がっているのかもしれない。


「ねぇ、アランさん。自分自身の記憶は無いけれど、知識的なものは残ってるんだよね?」

「あぁ、そうだな……とはいえ、シンイチと同じ世界とは限らんしなぁ……もしかすると、異世界も何個もあるかもしれんし」

「うーん、それは確かに。でも、試してみてもいいかな?」

「あぁ、そんな異世界が何個もあるとも限らないしな。試してみよう」

「うん……それじゃあ何個か、覚えているものの特徴を言うから、それの名前を当ててみてほしいんだ」

「あぁ、分かった。お手柔らかに頼むよ」

「それじゃあ、第一問! 機械でできている、移動する鉄の箱は?」


 移動する鉄の箱か、答えは何個か思い浮かぶが、全部言えば問題ないだろう。


「自動車、電車、機関車……どれか正解はあるか?」

「うん、ジドーシャが正解!」


 イントネーションが安定しないのは、普段から使っている言葉でないせいだろう。しかし、クイズが楽しいのか、ソフィアの表情は明るい。

 

「それじゃあ、第二問! 遠く離れた場所に居ると人とやり取り出来る、通信魔術みたいなものは?」


 先ほどから説明が抽象的だが、それも仕方ないか。普段から使っているものでも無いし、シンイチが言った通りに覚えているわけでもないだろう。それも何個か正解に近そうなものを言ってみることにする。


「電話、携帯電話、スマートフォン……これらを使って、メールだとかSNSでもやり取りは出来る。もしくは、インターネットとかシンイチは説明しているかもしれない」

「うん、デンワって言ってた! 次で最後の質問……これが一番信じられなかったんだけど、人間が人間を創れるって言ってた。子供って意味じゃないし、最初から大人な人も創れると……これは何て言う?」


 それに関しては、恐らくほかの敬称は存在しないだろうから、そのまんまで答えることにする。


「アンドロイドだな、それは」


 世代的な話はしないほうがいいだろう。辞書的な知識としては第四世代まではあるが、話すとこんがらがる可能性がある。そして、こちらの返答が満足いくものだったのだろう、ソフィアは驚きと歓喜とが入り混じった表情で震え、次いでエルとクラウの方へ振り返った。

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