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12-9:二人の少女との再会 上

 レヴァルへと辿り着いた時にはすっかりと日は暮れてしまっていた。かつては魔族の襲撃から内部を守るために建てられた堅牢な壁は所々崩落してしまっている。元々は自分がレヴァル襲撃を画策して破壊された部分もあるはずだが、迅速な修理が行われたはずであり、現在壁が落ちているのは最近の襲撃によってのものだろう。


 とはいえ堀は顕在であり、城塞の中に入るためには正門から入るのが常道だろう。その気になれば堀を飛び越えることも不可能ではないが、そこまで下品な真似をすることもない。そもそも堀と塀を飛び越えているところを見られでもしたら後々面倒なことになるはずだ。


 しかし、正面から入るにしても一つ課題はある。というより、どこから入っても問題はあるのだが――。


「……果たして、歓迎されるかしらね?」


 自分は一年前のレヴァル襲撃の主犯であり、ここに駐在する軍隊や町民たちは自分のことを覚えているだろう。そうなれば、歓迎されないのはもちろんのこと、最悪の場合は晒し首にでもされてもおかしくはない。


 ここを目指すと決めた時から頭の片隅にはあったのだが、結局あまり有効な打開策は思い浮かばないままここまで来てしまった。一応、以前と服装や髪型も違うし、何よりも世間の状況が一変しているのだから、バレたとしても問題ないのではないかと楽観的に考えていた部分はある。


 しかし、正門の前で周囲を警戒している衛兵を見ると――松明の下に居るのでこちらからは視認できるが、暗がりにいるこちらのことはまだ気付いていないようだ――こちらの身元の確認はしっかりとされそうだし、今更ながらに問題が起きるのではと急に不安になってきてしまったのだった。


「ジャンヌさん、何かマズいことでもあるんですか?」

「そうね……端的に話すと、私はこの街を一度滅ぼそうとしたのよね」

「えぇ!? どうしてそんなことをしたんです!?」


 セブンスの驚きの声があまりにも大きかったため、口元に人差し指を立てて静かにするようジェスチャーを取ってから事情を伝える。ここに来るまでに魔族に与していたことは話したが、レヴァル崩壊計画については説明していなかったので、端的にその事情を説明することにする。


「うぅん、事情は分かりました……でも、どうしましょう。多分、どっちかって言えば私も怪しい者ですよね?」

「その辺りの自覚はあるのね……まぁ、幸いにも夜だから、堀を超えて適当に崩れている壁から中に入るって手もあるけれど」

「でも、中で誰かに見られたら通報されちゃうかもしれないですよね? それなら、誠心誠意謝って、正門から入れてもらうのが良い気もします」

「……貴女は魔族に与した私のことを気にしないのかしら?」

「はい! 私は魔族さんにも事情があるのは理解していますし、ジャンヌさんにも色々とあったんだと思います。もちろん、ジャンヌさんがやったことを許さないって人も居ると思いますけど……今は改心して、世界のために戦おうとしてくれてるんですから!」

「別に改心したつもりはないけれどね。私はずっと、自分の味方なだけよ」

「ふふ、ジャンヌさんは口はちょっと良くないですけど、心根は優しいって知ってるんですから! ともかく、行きましょう? 何かあったら、私も一緒にごめんなさいをしますから!」


 そう言いながら、セブンスはゆっくりと城壁の正門の方へと歩き出した。仮に自分を知っているものが居るのなら、国家転覆どころか人間世界を終わらせることを企てたのであり、謝って済む問題でもないと思うのだが――とはいえ並の衛兵が相手なら、何かあったら一旦退いて方策を考えればいいか。そう思って少女の後をついていくことにする。


 正門に近づくと、衛兵たちは自分たちの姿を視認したようであり、桟橋の向こうから近づくセブンスの前で持っている銃を――レムリア側ではほとんど流通していないが、あれは鋼鉄の機械兵が持っているのと同じ規格の物だ――構えた。


「待て! お前ら、何者だ!?」

「その、私たちは、えぇっと……冒険者です!」

「冒険者だと? 今の時代に冒険者などいる訳がない。怪しいな……何か身分を証明できるものはあるか?」


 怪しいという割にすぐに攻撃してこなかったのは、セブンスの纏う人畜無害でお人好しな雰囲気のおかげだろう。冷静に見るとその身に合わない大荷物を背負っており、怪しいどころか人間であることを疑うレベルなのだが――対するセブンスの方は小さく両手を上げたまま、二人の衛兵を代わる代わる見つめたようだ。


「あの、身分を証明できるものは無いのですが……私たち、この街に神々に対抗するための戦力が集まっていると聞いて来たんです。それで、その、もしかしたら中にゲンブという人か、アシモフさんって方が居るんじゃないでしょうか?」


 二人の衛兵は互いに顔を見合わせて首を傾げた。

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