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8-50:迎撃のための作戦会議 上

「皆さん、緊急事態です……どうやら、この基地の存在が追跡されており、敵は地下通路と地上の両方からこちらを目指しているようです」


 モニターに映っていたゲンブは、それだけ言って少し下がった。彼はいつも通りにブリーフィングルームに居たようで、同時にモニター内にはアシモフとアズラエルの姿が映し出された。


 追跡されていたことにどうして気づかなかったのか、またはアズラエルやアシモフがこの場所をルーナに密告したのでは――など色々な可能性が一瞬だけ脳裏をよぎったが、今は原因探しをしている暇はないだろう。


「それで、敵の数は分かるのか?」

「いいえ、第五世代型はレーダーには映らないので、その数の詳細は不明です。しかし、地下通路の赤外線センサーを通過した数や、重量計測装置から鑑みるに、地下からだけでも百は下らない数がこちらへ向かってきています。

 この数で来ているとなれば、潜入工作などではなく、こちらの殲滅を目的としていると考えるのが妥当ですね」

「作戦は? こういう時のために建設した基地だろう?」

「少々お待ちを」


 人形がディスプレイの向こうで指を動かすと、モニターの画面が分割され、基地の立体構造のマップが映し出された。


「作戦の目的は単純明快、ピークォド号による極地基地の脱出です。とはいえ、向こうもそれを警戒して外にも陣をひいているでしょうし、簡単な作戦にはならないでしょう」

「一応確認しますが、籠城と言う選択肢はあり得ませんか?」


 隣に座るソフィアがゲンブにそう質問した。実際、この複雑な基地の構造や隔壁を上手く使えば、長時間の籠城は不可能ではないはずだ。しかし、モニターの向こうで人形は大きく首を振った。


「はい、あり得ません。籠城とは、相手の兵站や士気など削るために行う作戦であり、第五世代型アンドロイドにはそれは通用しません。また、侵入する第五世代を無人兵器や我々で各個撃破する迷宮として作成したこの基地ですが、ピークォド号を奪われてまで脱出するほどの価値もありません。

 更に最悪の場合、ジブリールが今回の襲撃に参加していた場合にセレスティアルバスターによる外からの基地破壊もあり得ます……とはいえ、向こうには目当てのモノがあるので、それをしてくるのは最終手段でしょうが。代わりに、かなり苛烈に歩兵にて攻撃してくるはず……消耗など気にせずにね」

「目当てのモノ……エルさんでしょうか?」


 続くソフィアの言葉に対し、ゲンブは珍しく回答が遅れる――自分としても、この基地でDAPAの連中が目当てにするモノはエルくらいしか思い浮かばないのに、返事が遅れるのは違和感がある――そしてややあってから人形の首は今度は縦に動いた。


「奴らの狙いの一つではあるでしょう。テオドール・フォン・ハインラインに隠し子でもいない限り、リーゼロッテ・ハインラインが適合できるだけの器がありませんからね。あと一つ重要なのは、母なる大地のモノリスです。アレがピークォド号に乗っている以上、そう簡単に大量破壊兵器の投入はしてこないはずです」

「ちょっと待ってくれ、連中はモノリスも狙っているのか?」


 こちらの質問に対しては、ゲンブの隣にいるアシモフが反応した。


「以前お伝えしたよう、レムのモノリスがある以上、母なる大地のモノリスは計画に必須ではありませんでしたが……右京達としてもモノリスが多いに越したことはないでしょう」

「……逆に、必須でないからこそ、最悪のケースも想定すべきだってことだな」


 自分の言葉にアシモフは頷き返す。そして話者は再び人形へと入れ替わった。

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