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76.明らかになる真実(6)


けれど気になる事があった。


アマリリスを孤児院に置いて行方不明になった母親のマヤは、今どこにいるのだろうか。



「わたくしの、お母様は……」


「……」


「………ミッドデー国王陛下?」


「マヤは………マヤの行方はワシにも分からない」


「え…」


「っ、ワシが駆けつけた時には……もう」



マヤとアマリリスが城に戻る途中、乗っていた馬車は無惨に焼かれて、御者や護衛も全員殺されていたそうだ。


しかし、アマリリスとマヤの遺体は見つからなかった。


ミッドデー国王はショックの余り、周囲の反対を押し切って国を閉じた。

もう大切なものを何一つ、失いたくなかった。

希望を捨てずに今日まで、アマリリスとマヤを探し続けていたそうだ。

ミッドデー国王の瞳は悲しみに揺れていた。


そして、ミッドナイト女王に怒りが篭った視線が向けられる。



「………やはり、ミッドナイト王国の者がマヤとアマリリスを襲ったのではあるまいな」


「そちらこそ、我が国の王太子を連れ去ったのではないのかッ!!?」


「お前の国の王太子なぞ、知ったことかッ!!一ミリも興味ないぞ」


「それは此方も同じだ!!そなたの娘など毛ほども興味がないッ」



激しい口喧嘩が目の前で勃発していた。


ミッドナイト女王はユリシーズの肩に手を置き、ミッドデー国王はアマリリスの手を大切そうに握りながら、頭上で繰り広げられる口論。


話を聞けば、顔を合わせるのはアマリリスとユリシーズが居なくなって以来、初めてなのだという。

睨み合う両者は一歩も引くことはなかった。


アマリリスの記憶によると、ミッドナイト王国とミッドデー王国は元は一つの国だったそうだ。


元ミッド王国に二人の双子の王子が生まれ、一人の王子が太陽を信仰して、もう一人の王子が月を信仰した。

そこから王位を争う内に対立するようになり、激しい争いが繰り広げられた。


そして、ミッド王国は二つに分かれることとなった。


ミッドナイト王国、ミッドデー王国と名付けられて、対立は続いていた。


そして約十九年前、とある事件をキッカケに溝は取り返しがつかない程に深まったと……。


そのとある事件とはユリシーズとアマリリスが同時期に消えた事だろう。


ミッドナイト王国はユリシーズを攫ったのはミッドデー王国が仕組んだこと。

ミッドデー王国はアマリリスとマヤが行方不明になった原因はミッドナイト王国の者達のせいだと思っており、かなり深刻な問題に発展していた。


故に、互いの国を憎み合うようになったそうだが……。



「何を言うか!この澄んだ夜空のような髪と星のように輝く瞳……男児とは思えぬ美しき顔の造形ッ!わたしの息子の方が素晴らしいぞ!!」


「お前こそ!アマリリスとマヤの素晴らしさなど何一つ知らぬだろうがッ!!この太陽のように輝くアマリリスの女神のような姿を見て何も思わぬとは…っ、お前の目は節穴かッ」


「「……」」



そして何故か話はズレていき、再会したばかりの娘と息子の自慢大会が始まる。


一向に話が進まない事を見兼ねて声を掛ける。



「あの……そろそろ」


「おぉ、アマリリスよ!!どうした?ワシが出来ることなら何でもしよう!その代わりに"お父様"と、呼んではくれまいか!?」


「えっと、お…………お父様?」


「ありがとう、アマリリス!!ワシは今日程嬉しかった事はないッ!!こんなにも立派に育って……!」



そんな時、想像もしなかった出来事が起こる。



「ーーーああ、愛しいアマリリス」


「本当はミッドデー王国の王女だったのね!!嬉しいわ!」



そこに現れたのはリノヴェルタ侯爵と侯爵夫人……そして不機嫌そうにしているルーシベルタであった。


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