表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/94

72.明らかになる真実(2)


「その髪色と瞳の色は間違いなくミッドデー王国の特有の色だ。よく見ると、あの男によく似ているではないか」


「あの男……?」


「最愛の妻と娘が消えて、他国と関わる事をやめた男の事だ……国の為を想うならば今すぐに国を開けばいいものを…愚かな王め」



ミッドナイト女王は静かな怒りを孕んでいるようだった。

やはりアマリリスはミッドデー王国の人間なのだろうか。


そして女王の様子を見たシャロンは焦ったように口を開いた。



「さぁ……ユリシーズ様、此方に来て私の手を取ってください!!」


「断る」


「っ、これは決まった運命なんです!!ユリシーズ様は私と一緒に居ることが決まってるんですよ!?」


「運命だと……?俺の未来は俺が決める」


「っ!?」



ユリシーズはシャロンの伸ばされた手を強く打ち払った。



「……どういう事だ?話が違うではないか」



ミッドナイト女王は二人のやりとりを見て眉を顰めた。



「俺は、アマリリスと結婚する」


「は……!?」


「どこの誰だろうと関係ない……"アマリリス"だから結婚したいと思った」



その言葉を聞いたシャロンから笑顔が消えた。



「お前と結婚する未来など……有りはしない」



シャロンは暫く放心状態で立ち尽くしていた。

そして体をワナワナと震わせながら「こんなの嘘よ」と呟いている。



「ど、どうして……!?私ちゃんとやったのに、私、夢で見た通りに動いたわよねぇッ!?なんで!なんでよッ」


「……」


「っ、貴方の出生を教えてあげたのよ!!この私がッ…!!私が居なければ貴方は、あんな男の騎士をしながら、そこの悪女と結婚するしかなかったのよ!?」


「………これ以上、俺の大切な者を侮辱するな」


「え……?」


「俺は、お前を許さない」



ユリシーズは迷わずシャロンに剣を向ける。

しかし剣を向けられても尚、ユリシーズを求めるように弱々しく手を伸ばす。



「違う、違うわ……ここは私を優しく抱きしめるところでしょう……?」


「……」


「貴方の妻になるのはこの私なのよ!?女王様も言っていたでしょう!?ねぇ、女王様」



ミッドナイト女王はシャロンとユリシーズ、交互に視線を向けた後に静かに口を開いた。



「我が息子がシャロンを心から愛し、わたしの迎えを心待ちにしていると聞いたのだ……手紙でやりとりを交わし、ミッドナイト王国の国王となる未来を待ち望んでいる。そして結婚の約束をしていると聞いたから承諾したに過ぎぬ。そしてバルドル王国の現状もな……」


「バルドル王国の現状……?」


「……あぁ、ユリシーズを取り巻く環境は酷いものだと聞いた。そして"早くしなければ手遅れになる"と、急かされて来たのだ」



どうやらミッドナイト女王の『直接、話を聞かねばならぬ。それ相応の礼をせねばな…』と言う言葉は、余り良い意味ではなかったようだ。



「そうですッ!私はユリシーズ様と心を通わせてっ、それでユリシーズ様は王になりたいって思っているの!何度も手紙のやりとりをしたでしょう!?そしたら段々と深い仲になって……っ!」


「………意味の分からない妄言を吐くな」


「…ッ!?」


「この状況を見る限り、話は全く違ったようだがな。まさか、わたしを謀ったのか?シャロン・メルメダ……」



ミッドナイト女王の鋭い眼光がシャロンに向けられた。

その言葉にビクリと肩を揺らす。

轟々と燃えるような怒りが女王の冷たい瞳から滲み出ていた。


あまりの圧力にシャロンは唇を震わせながら叫ぶ。



「ーーそうなる予定だったのッ!!間違いなく!ユリシーズ様との未来が見えてたの…!すべて、貴女のせいだわ!きっとそうだわ!その悪女が、また私を陥れようとしているのね」


「!!」


「……」






「あの時、予定通りに死んでいれば良かったのに…っ」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ユリシーズ、カッコええ 。・゜゜(ノД`) こんな息子が欲しい [一言] ずーっと思っていたことだけど・・・ 重々分かっていたことだけど・・・ シャロンってやっぱり最低女だぁぁぁ〰️…
[一言] 盛大な自爆。
2021/09/20 22:27 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ