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71.明らかになる真実(1)


「おお……!ミッドナイト女王陛下に瓜二つではないか」



ミッドナイト女王の後ろに控える立派な髭を携えた男が震えながら声を張る。

女王はその言葉にコクリと頷いた。



「ふむ、確かに…」


「……!」



ユリシーズもミッドナイト女王の顔を見て驚いているようだった。

二人の顔や雰囲気は本当に良く似ていた。


それにユリシーズの輝く金色の瞳の奥に輝く煌めきは、女王の瞳と同じに見えた。



「名を申せ」


「……」


「……」


「ユリシーズ・マクロネ……」


「そうか……ユリシーズ、生まれたばかりのお前を守れなかった事を、わたしはずっと悔いていた」


「……」


「まさか、バルドル王国にいるとはな……成人を迎えるまでに見つける事が出来た事は喜ばしいな」


「……何故、俺が息子だと断言できる?」


「分からぬか?その星屑のように輝く瞳は、わたしの血を色濃く受け継いでいるからだ」


「髪色が違う……」


「その藍色の髪は成人を迎えた日に金色に染まる。それが我が息子でミッドナイト王国、王太子としての証となるだろう」


「……!!」



ユリシーズは金色の目を見張り、女王を見ていた。

動揺が此方にも伝わってくるような気がした。



「ユリシーズ様!!ミッドナイト王国へ帰りましょう?本来、貴方がいるべき場所へと……」


「……」


「ふふ、もうすぐ幸せが手に入りますからね!」



シャロンは、再びユリシーズに向かって手を伸ばす。


ユリシーズは、そんなシャロンに冷めた視線を送っていた。

それでもショックを受けるどころか気分が高揚しているように見えた。



「このパーティーが終わり次第、そなたの育ての親、そして国王と話がしたい。直接、話を聞かねばならぬ。それ相応の礼をせねばな…」


「……」



ミッドナイト女王の言葉に、ユリシーズが口を開こうとした時だった。





「ーーーミッドナイト女王陛下!私との約束、忘れていませんよね!?」






シャロンはミッドナイト女王に問いかける。

ユリシーズを見て「私の旦那様…」と言って、照れながらも嬉しそうに笑った。


それを聞いたユリシーズが声を上げる。



「どういう事だ……!」


「ユリシーズ様は私と結婚するのよ?」


「は……?」


「そう決まっているの」



ユリシーズはシャロンの言葉に唖然としていた。

そこにユリシーズの意思は関係ないのだろう。

まるで言葉通り、必ずそうなると確信しているようだった。




「ミッドナイト女王陛下は私の話を信じて下さったの。もし、本当にユリシーズ様がミッドナイト王国の消えた王太子だったら……」


「……」






「国を救った英雄として、貴方のお嫁さんになってもいいって……!」







「「「「ーー!?」」」」



それには言葉を失った。

つまりシャロンはユリシーズがミッドナイト王国の王族だと分かった上で、女王の元へ向かった可能性が高いという事だ。


ハーベイはその場にペタリと座り込んだ。

シャロンの本当の目的を知って、絶望しているようだった。



「雲に覆われていた月は、星読みの少女によって導かれた」


「そうですよ!私のお陰でユリシーズ様はミッドナイト王国の王太子って分かったんですから」


「国へ帰ろう……ユリシーズ、次期国王として学ぶべき事は沢山ある」



淡々と言う女王と満面の笑みを浮かべているシャロンに対して、ユリシーズは毅然とした態度で口を開く。



「俺には愛する人が居る……その申し出は受けない」



女王はチラリと此方を見て、再びユリシーズに視線を戻した。





「……まさかそなたの愛する者とは、隣にいるミッドデー王国の女のことか?」






ミッドデー王国……その言葉に思わず胸元のペンダントを握りしめた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [気になる点] 最新話のことですが。 他国の女王がいきなり王宮に現れるのは、流石にちょっと無理があるのでは…… また、女王とは言え自国ならともかく他国の貴族に対して態度が不遜…
[良い点] この国はミッドデー王国? 以前に書かれていたのかもですがどこに名前があったのか忘れてしまいました。
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