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65.嵐の前の静けさ(2)


「!!」


「今はあの子に夢中みたいだけど、僕は弟の手に余ると思っているんだ。あまりオススメできない気がするんだけど……君はあの子についてどう思っているの?」



スペンサーにはこうして度々、意見を求められる。

どう対応すればいいか迷っていたが、今では素直に答える事にしている。


それにスペンサーや国王は、いつもどこか遠くを見ながら此方と会話しているような気がするのだが気の所為だろうか。



「えっと……わたくしも余り、おすすめはできません」



そして"あの子"とは間違いなくシャロンの事であるが、スペンサーも口振りからしてシャロンに対して、あまり良い印象は持っていないようだ。



「それは何故だい?君の意見が聞きたいな。勿論、今はプライベートだから自由に答えてくれ」



スペンサーは笑顔を貼り付けたままだ。

少しだけ考えた後に口を開いた。



「ハーベイ殿下の事もそうですが、わたくしには彼女が何をしたいのかよく分からなくて……」


「………。ふむ」


「それに……わたくしは、あまりシャロン様によく思われていないので、これ以上はなんとも」



シャロンとはマクロネ公爵邸に住み始めてから、顔を合わせることも関わることも無くなった。

故に、以前のアマリリスならまだしも、大したことは語れない。



「そうみたいだね。それはルーシベルタ・リノヴェルタの件で証明された」


「……はい」


「僕が気に入らないのは、ハーベイをキープしながらも、ユリシーズを得ようと影で動いているという事だ」


「……!!」


「特に君は、気をつけた方がいい」



(やっぱり……そうだったんだ)


シャロンの視線や態度で薄々は気付いていた。



「そしてこのタイミングで姿を眩ませた」


「そう、ですね」


「私の予想では王家主催のパーティーには戻ってくる。絶対に……」



自信満々に言いきったスペンサーに問いかけた。



「……スペンサー殿下は、未来が見えるのですか?」



まるでシャロンと同じように未来が見えているようだ。

スペンサーは少しだけ目を見開いてクスリと笑う。



「ははっ、違うよ」


「……?」


「僕は腹に悪いものを抱えている人を見ると、何を考えているか分かるんだ。不思議とね…」



ゾクリと背筋が凍るような笑みを見て、ブンブンと首を縦に動かした。



「あはは、冗談だよ!実は内緒だけど、僕は人が持つ色やオーラが分かるんだ……バルドル王家の血筋に伝わるものだよ」


「色……?」


「以前の君は淀んだ茶色や濃いボルドーだったけど……今は温かみのある橙色や明るい赤が混じっている」


「色は、変わるのですか?」


「………僕の話を信じるのかい?」


「はい、勿論。嘘なのですか?」


「いや……普通はそのまま信じないだろうね。君は素直だね。僕としては好ましいが、利用されないように気をつけた方がいい」


「は、はい」


「色は基本的に変わる事はない……アマリリス、君の色は濃い赤を基調としていたけど、茶色が消えて橙色が混じった。牢から出た君は、まるで別人のようになっていたから不思議だったよ」


「そ、うなんですね……!」



スペンサーは猫のように目を細めた。


(バルドル王国の王族にそんな力があったなんて、全く知らなかった)



「君やジゼルを見ていると、僕は安心するよ」


「あの……ジゼル様は何色なのでしょうか?」


「アマリリスは何色だと思う?」


「温かい色だと思いますわ。ジゼル様は明るくて元気で愛情深いので、濃い橙色や黄色のイメージです」


「……当たりだよ、凄いね。では、ユリシーズは何色だろう?」


「夜空に輝く星のような色…銀色とか似合いそうですね」



スペンサーは僅かに目を見開いた。


まるで色占いのようだ。

性格と色はリンクしているような気がした。



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