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51.新しい居場所(7)



「わたくし、今日ドキドキしてたの。でもアマリリスったら可愛い反応をするんだもの……つい買いすぎちゃったわ」



アマリリスの所作や記憶、全て変わっていないのにも関わらずに性格や考え方が変わっている。

それをジゼルも感じたのだろう。



「それにアマリリスはハーベイ殿下の顔を見たくないと言ったんだ。婚約者に戻りたいとも言わずに、ただ"クソ野郎"と…」


「当たり前じゃない!スペンサーがハーベイと同じ事をしたら、わたくし間違いなく発狂するわ…!許されただけ奇跡よ」


「ああ……シャロンにも再びパーティーで会うことになるだろう。本当はパーティー前に色々と済ませたかったが上手くいかない」


「馬鹿には何を言っても分からないわよ?」


「こうなった以上、パーティーで大勢に見せつけた方が早い…誰も付け入る隙はないとな」


「あら、わたくしそういうの大好きよ」



アマリリスの結婚をなんとか阻もうと、動いている者がいる。

その中に、シャロンもいる事は分かっていた。



「ユリ、お父様に力を借りた方がいいわ」


「父上は忙しい。迷惑を掛けたくないんだ」


「お父様は喜ぶと思うけど?それに貴方が今回のパーティーに気合いが入っている理由が改めて分かったわ」


「ああ……アマリリスを守る為には必要な事だ」


「そしたらゆっくりと過ごせるわね…!ユリが幸せそうで、わたくしも嬉しいわ」


「…………ありがとう、姉上」



アマリリスの髪をサラリと撫でた。

その優しい表情を見て、ジゼルはニコリと微笑んだ。



「それに、あの女は何か隠している気がするんだ……姉上も気付いた事があったら教えてくれ」


「勿論よ……貴方の成長した未来の姿でも見たんじゃないかしら?」


「立派な騎士になれる未来か?」


「フフッ、そうね!立派な騎士になれるといいわね」



隣で涎を垂らしながら幸せそうに眠るアマリリスを見て、ジゼルと目を合わせて小さく吹き出した。





そしてマクロネ公爵邸での新しい生活が始まった。


ユリシーズは結婚のタイミングは「王家主催のパーティーが終わってからにしよう」と言った。

ユリシーズは直ぐにでも結婚するつもりだったらしいが、手続きが上手くいかなかったようだ。

「お任せします」と言うと、ユリシーズは困ったように笑った。


王家主催のパーティーが終わり次第、結婚する運びとなった。



その間、三食昼寝付きの生活を満喫していた。



牢屋と同じ環境、ララカもフランもヒートもいる。

オマリはマクロネ公爵に怯えながらも、マクロネ邸に会いに来てくれる。


太陽の下で伸び伸びと刺繍も出来る。

美味しいご飯もお腹いっぱい食べられる。


マクロネ公爵邸の人達は皆、親切で良くしてくれる。


しかし、困ったことに次第に体がムズムズとしてきたのだ。



「……………何をしている」


「ララカと一緒にお掃除を……」


「今すぐやめろ」


「えっ!?」



またある時は……。



「……………何をしている」


「庭師さんと一緒に草むしりを……」


「今すぐやめろ」


「へっ!?」



そして、またある時は……。



「……………何をしている」


「侍女達と一緒に繕い物を……」


「……そうか」


「はい!」




ーーーパタン




「よし、行きましたわ……続きの洗濯物を干してしまいまっ」


「今すぐやめろ」


「ひっ!!?」




またまたある時は……。




「……………何をしている」


「何って、フランとヒートと一緒に、ユリシーズ様のお弁当を作ろうかと」


「……そうか」


「……」


「……」


「いいんですかッ!?」


「ああ、楽しみにしている……」


「ありがとうございます、ユリシーズ様!頑張って作りますね!」



それが今朝の出来事であり、手元にはアマリリス達が作った弁当があった。



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