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47.新しい居場所(3)



そんな侍女達の中に見覚えのある栗毛のお下げの髪。

懐かしい姿を見て目を見開いた。



「ーーーラ、ララカ!?」



牢の中、世話をしてくれた唯一の侍女、ララカの姿であった。



「えへへ、驚きましたか?」


「ララカ、どうしてマクロネ公爵邸に……!?」


「それは勿論、私がアマリリス様の側に居たいと思ったからです」


「ララカ……!」


「……ッ、アマリリス様!」



手を伸ばしてララカを思いきり抱きしめた。

ララカの話によれば、また側に居たいと毎日、思い悩んでいたのだそうだ。

そんな時、ユリシーズがララカに声を掛けたのだ。


そしてユリシーズ経由でマクロネ公爵の元に直談判に行ったらしい。

マクロネ公爵はララカの心意気を気に入り、雇い入れてくれたそうだ。


そしてマクロネ公爵邸に来た次の日の朝、こうしてサプライズをして驚かせてくれたのである。



「ありがとう、ララカ……とても嬉しいわ」


「はい!私もアマリリス様と一緒に過ごした日々が忘れられなくて……あとフランとヒートも来ていますよ」


「フランとヒートも!?」


「はい!ユリシーズ様のお陰です」



フランとヒートも楽しい日々を懐かしく思っていた。

けれどアマリリスが居なくなり、二人のやる気は落ち込んでいた。


そんな時、二人の元にやってきたユリシーズ。

そしてララカ同様、フランとヒートもマクロネ公爵の元へ直談判。


マクロネ公爵家の料理人が高齢化していたこともあり、フランとヒートを雇い入れたそうだ。

フランとヒートの己を高めようとする心意気がマクロネ公爵に気に入られたそうだ。


また二人の作る料理を食べられるのかと思うと心が躍る。


『あの牢と同じ生活を約束しよう』


ユリシーズは言葉通りに動いてくれたようだ。

嬉しくて堪らなかった。


オマリはユリシーズの部下として働いている為、会おうと思えばいつでも会えるそうだ。


陽の光を浴びながら、ララカと抱き合いながら再会を喜んでいると「買い物に行きましょう!!」と元気よくジゼルが部屋に乗り込んできた。



「姉妹のように買い物するのが夢だったの……!」



と、言うジゼルに連れられるがまま、マクロネ公爵家御用達の高級ドレスショップへと足を運ぶ為に馬車に乗り込んだ。

服や必要な物を色々と買い揃えてくれるようだ。



「珍しいわね、ユリシーズが一緒に来るなんて」


「そうなんですか?」


「今日は偶々休暇だっただけだ。それに護衛も兼ねている」


「あら、おかしいわね。わたくしの護衛ならば沢山居るけれど?」


「………」


「未来のバルバド王国の王妃様ですものね……!ユリシーズ様はお姉様想いなのですね」


「「……」」



ジゼルがニヤニヤと笑っているのを見たユリシーズはゴホンと咳払いをした。



「好きな事や好きな人にはとことん尽くすのよね、ユリは」


「好きな事……?」


「今日もアマリリスの服を選びた……「さっさと、行くぞ」


「ウフフ」


「???」



先ずはドレスからと、馬車を降りるといかにも高級そうな店構えにゴクリと喉を鳴らした。


専用の個室に通された三人がお茶をしていると、数人のスタッフがドレスをずらりと持ってくる。


その迫力に固まっていた。


慣れた様子で立ち上がったジゼルとユリシーズを見て急いで二人の後を追う。


(アマリリスはこんな事で動揺しちゃだめよ!前も良くドレスを買ってもらっていたじゃない……!慣れよ慣れ!)


アマリリスはリノヴェルタ侯爵達に最低限の世話をされてはいたが、ドレスや宝石はプレゼントなどで自分で揃えていた。



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