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20.真実はどこにある?(3)



此方の疑うような視線に気づいたのか、何事もなかったように表情を取り繕っている。

「ハーベイ様がとても心配なんです…!」と言いいつつ、自分も一緒に行きたいと強請っている。


しかしハーベイは首を縦に振ることはなかった。


シャロンが先程、過剰にアマリリスを怖がったのが原因だろう。

だがシャロンは「怖い」と言いながらも、アマリリスの様子が気になるようだ。

「一緒に行きたい」と食らい付いている。


シャロンは自分が知らないところでハーベイとアマリリスが話すことを避けたいのだろう。

考え過ぎかもしれないが、何かやましいことがあるのかと思ってしまう。


(何をしようとしている……シャロン・メルメダ)


シャロンの真意が気になるところだが、此方をチラチラと確認しながら、どうするべきかを迷っているようだった。


結局、ハーベイはシャロンを置いて一人でアマリリスに会いに行くこととなった。



「ユリシーズ……明日、アマリリスの元に行くタイミングで迎えに来てくれ」


「かしこまりました」


「……っ」





ーーー次の日





アマリリスに食事を届ける時間の少し前にハーベイの部屋に向かった。


そこにはオマリと同じ騎士団の制服に袖を通したハーベイの姿があった。

ハーベイは今日、新人騎士という設定でアマリリスの元に行くことになっていた。


ハーベイだと気付かれないようにした方が、アマリリスから本当の気持ちを聞けるのではないか。

アマリリスの、ありのままの姿を見る事が出来るかもしれない……そう思った為、ハーベイに変装してみてはどうかと提案したのだ。

そこでアマリリスが話す内容によっては、ハーベイの考え方は変わるかもしれない。



「行こう、ユリシーズ」


「はい」



共に歩き出したハーベイの表情は固いままだ。


やはり、ハーベイも心のどこかでアマリリスに対して罪悪感を抱いているのだろう。

顔を合わせ辛いという気持ちもあったのかもしれない。

長年ハーベイと共に居るからか、なんとなく気持ちを察していた。




ハーベイを連れて、いつものようにアマリリスの食事を持ちに厨房を訪れると、二人の料理人から「アマリリスの元に行きたい」と、突然懇願された。


それはいつもアマリリスの食事を作り、メモでやりとりをしているフランとヒートであった。



「今日は自信作なんです!いつもは文字ばかりで味気ないから、アマリリス様と直接話しをしたくて……」


「だが、そのような理由で地下に行くことは…」


「お願いしますッ!ユリシーズ様っ」


「……」


「俺達もララカのようにアマリリス様の世話を任されています!だから…!」


「それに僕達は、アマリリス様に御礼を言いたいんです…!」



渋っていると、様子を見ていたハーベイが後ろから許可を出す。

「分かった」と言うと、フランとヒートは心底嬉しそうに瞳を輝かせた。

そして、アマリリスの元へ持っていく料理の仕上げを始めた。



「……ユリシーズ、どういうことなんだ」



ハーベイが小声で問いかける。

牢の中にいるアマリリスの元にわざわざ会いに行きたいと言う料理人達の様子に驚いているようだった。



「最近、料理が美味しくなったと仰ってましたね」


「あぁ、父上と母上もとても喜んでいたよ。食べたことのない料理だが皆、新しい料理を気に入っているんだ」


「………それは全て、アマリリス・リノヴェルタの助言のお陰です」


「は……?何故、アマリリスがそんなことを」


「私にも詳しいことは分かりません……けれど料理人達とアマリリス・リノヴェルタは、メモと料理を通じて心を通わせているようです」


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