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43話 決着

☆前回のあらすじ☆

・悪意を知ったよカーリーさん

・突然やってきた■■■さん

・そろそろ決着




悪意だのなんだののあれこれは正直書いてて自分でもわからなくなりそうだったので、今回トランジション部分にまとめてナルダ様に説明してもらいました。

「管理者」を読んでいただいた方々は分かると思いますが、私が説明を始めるとTMPが悪い漢字だらけの文章が長々と続きます。


雰囲気で読んでいる方は余計に混乱すると思うので飛ばしていただけると幸いです。

『(クソが……クソがッ!!!!顕現さえできてしまえばあんな奴に………!!!!!

次元移動だか何だか知らねぇが、一捻りで殺せるっていうのに!!!!

ああイライラする!!!! どうしていつもギリギリのところで上手く行かない!!!! 折角の痛みが全然キモチヨク無い!!!!!!! もったいねぇ!!!!)』



残り少ない漂っている魔力を全力で吸収し、今なお傷跡を蝕んでいる奴の魔力の残滓を振り払う。

先程の一撃でこの空間の魔力をゴッソリ持っていかれ、その上侵蝕性の嫌なモノまで置き土産を貰ってしまった。私のお人好しで行き倒れの奴に食糧をあげたのが、まさか今になって響いてくるとは。


しかもよりにもよってワタシと同じ存在証明(チェック)が不確実な奴。

まるで誰かがこの状況を予見していたと思えるほどに適切な駒を出してきた。全く、偶然にも程がありすぎる。



『(……………………………………………………。


落ち着け…無駄にエネルギーを消耗するな……どの道例の武装が消えた私にワタシを殺す術はない、「私の悪意」という存在意義さえ保てていれば、どうという事は……!!)』





ざっ。

私が歩いてくる。


膝を震えさせ、両腕とも完全に脱力し、うつむいたまま、ただひたすらに足だけを前に進める。

意志の力だけで立っている、油汚れのようなしつこさもついに限界が来ている証拠だ。



その点こちらは6割方修復を終え、あと少しで骨格の再構築が終わる。

魔力の残量自体がもう残り少ない以上、今までのような自壊を前提とした威力は出せないが、皮膚と筋肉を貫かせることぐらいは可能だ。

私が射程圏内に入った瞬間、その心臓を貫いてやる。


どんな手があるかは知らないが、全部ぶち壊してやる。






一歩、また一歩と近づいてくる。

腹部に空いた穴は完全に塞がり、あとは剥きだしになった筋肉部を包むだけである。

ようやっと足にも力が入るようになってきた。


あと3歩。







2歩。










1歩。


赤色の塊が、飛び出す。

――――――――――――


存在証明。


それはこの世界で生きる以上絶えず続けなければならない概念。

光や空間へ、世界への影響を与えることでそれを可逆的に証明している。

つまりこの世にとどまるためには世界に大小問わず影響を与えなければならない。

世界への影響は、存在証明が為されている事と等しい。

また世界の定めたルール、例えば善意と悪意の両儀は相方となる存在がある、これまでの単語で言えば「存在意義」がある限りその証明が為されている。



だが裏を返せば、存在証明が確立できていないという事は「世界からの影響」も不確実であるという事だ。

ゴースト系・一部の流動体系の魔物は魔力によって霊体を維持しているが、霊体そのものは実体を伴わない為、存在証明が不確実であり「金」のスキルのように因果に干渉しない限り攻撃が当たらない。

逆に奴らが物理的・魔法的問わずに攻撃する、つまり現世に影響を与える瞬間はその存在が証明されたと言えるため、魔力を用いれば霊体に攻撃が通る。



そして不確実な存在証明は一種の次元跳躍すらも引き起こす。

ゴースト系の魔物の中でも強力な物は幻覚や幻聴、鬱状態などの精神攻撃を繰り出してくるが、それが最たる例である。

個々の精神世界、物質界である現世よりも上の次元である星幽界に跳躍し、直接影響を与える。当然いくら屈強な肉体を持とうが精神をやられてしまっては意味が無い。精神疾患ならまだ軽い方であり、最悪廃人になる事もしばしば起こり得る。



本来存在証明の消失はゴースト系の魔物のように実体を持たないことが前提だが、極めて特殊な事例においては実体を持つ者が後天的に存在証明の確実性を失う事がある。

過去にある色付きがこれに該当し、存在証明を一時的に不確実にすることで即効性の次元の跳躍により物理的障害を回避すると言った戦法を編み出した。

また伝承の中には平行世界へのアクセスとリンクについて記されており、とある人物が平行世界の自分自身とリンクすることで戦局に応じて平行世界の自身が身に付けた技量をそのまま受け継ぎ行使する事を可能にしていたらしい。


他にも一部の者たちから「漂流者」と呼ばれている平行世界からの異邦人は、その世界にいる自分自身との接触による対消滅を回避するため強制的に存在証明が不確実になる。



『(また「完全なるバベルの塔」以外の如何なる手段を用いても世界の根(ワールドルーツ)に辿り着くことは不可能だが、「根」に近づくことでその影響を受けやすくなる代わりに塔が出現しやすくなる。

我もそうだが、平行世界への移動はポータルの生成に相当なエネルギーを消費するため乱用はできない。しかしある漂流者……まぁカーリーが餌付けした奴の事だが、奴は「縁」を頼りに別の世界を経由して少ないエネルギーで移動を可能にしているようだ。)』





そして、概念を統べる存在である神獣の一部は、権能として自身・他者問わず存在証明を操作することが可能であり、ナルダはこれまで辛うじて残った権能によりカーリーの精神世界へのアクセスを可能にし、<共鳴>に潜んでいる<共感>を「否定」することで、顕現を遅らせた。




『(既に<共感>自体が説明しているが、<共感>はカーリーの悪意を司る部分そのものであり、全盛期ならともかく力が殆ど残されていない今の状態では切除は不可能であるため、止む無くカーリーの悪意そのものを否定した。


しかし善意が残されている以上光と影の両儀により悪意が逆説的に証明されたことになるので、我の影響下から離れた瞬間<共感>が復活。応急処置としてカーリーの悪意の感受性を限りなく低くすることで欺いていたが、クリス・ヴァ―ミリアのように善意と悪意の均衡が生まれながらにして崩れた人間との接触によりカーリーが「怒り」を感じ、それも破られた。


そして2週間という人間では何かしらの信頼関係を結べる時間を経過させた人間(ロール)()()()ビスタ・ファルドを送り込み、敢えてカーリーの目の前で瀕死にさせる。これでカーリー本人が悪意を自覚し、<共感>の役割を奪う事で存在意義を消失させる。チェックメイトとして事前に餌付けという形で「縁」を結んだ例の漂流者をぶつけ、<共感>の力を削がせることで………………


シャルラッハの予想外の手際の良さや、やはり現れた精神汚染型のAES、そしてクリス・ヴァ―ミリアによる想定よりも早い<共感>の再発。

アクシデントは度々あったが、なんとかお前のシナリオ通りになりそうだな。


アイボリー。)』



――――――――――――


『死ねぇッ!!!!!』



射程距離3mにカーリーが踏み込む。

待ち侘びたかのように赤色の塊が飛び出したその瞬間。




「さ、せるかああああああああああhhhhっ!!!」


『何ッ!!!!?』



いつの間に背後に来ていたのか、辛うじて息を繋いでいたビスタが<共感>の足を掴む。

突然ぐいと引っ張られ、そのまま前のめりになって倒れてしまう。


「今だッ!!!! カーリーィィィ!!!!」



ビスタの言葉を聞いて、最後の力を振り絞り飛び出すカーリー。

叫ぶだけの力すら残されておらず、そのまま倒れ込むように前へ飛ぶ。

今までであれば、例え前のめりであろうが反撃を与えていたはずの<共感>だが、致命傷をくれてやったはずのビスタが生きていたという事実に困惑し判断が遅れてしまう。



『このッ!! 離しやが…』



もう片方の足に力を込めて、ビスタの顔面を今度こそ粉々に砕こうとするが、時は既に遅かった。

倒れ込むように跳んできたカーリーが、そのまま覆いかぶさるように<共感>をビスタから引き剥がす。



『っ!!? 貴様ッ!!! まさかッ』



これから起こることに気付き逃れようともがくが、抱き着かれている状態では文字通り手も足も出せない。出すのに間に合わない。

そしてあの霧の森の時のように、もう一度そのスキルを使う。



「<共感(シンパシー)>イイイイイィィィィ!!!!!」






<共感>。

それは悪意を吸収するスキル。

心を読むといった紛らわしい戯言や、余計なオプションが付いてきたが、その本質は変わらない。


本来自分自身の悪意は吸収できないが、自分であって自分でないものならば、「入れ物」さえ用意できてしまえば、あるいは。


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