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40話 知らない位が良いのに

☆前回のあらすじ☆

・強すぎるよ偽カーリーさん

・<共感>そのものだったよ偽カーリーさん

・ギリギリ参上ビスタくん






・何で知ってたのかなナルダ様

苦戦を強いられることは覚悟の上だったが、まさかこれ程だったとは。

正直な所ファーディ先生よりも強い。まさに正真正銘のバケモノだろう。


記憶の再現であればスキルを使えるかもしれない、そう義妹さんに言われ下手な希望を持ったのは間違いだった。とはいえスキルが無ければどうしようもないのもまた事実なのだが。



あの子の記憶の中、つまり昨日の実技の授業において、僕がスキルを使用している場面を見せているため、記憶の再現であるこの場所でも僕は問題なくスキルを扱うことが出来た。

ただ現実のように使いこなせるわけでは無く、あくまであの子の主観を基に作られているため「剣の威力の向きを自由に操れる」スキルから「振り終える直前の剣の向きを変える」という若干制限されたスキルとなった。


何が問題なのかと言うと、<剣舞>の強さは殆どがそのオミットされた応用性に依存している事なのだ。

実はこのスキルの効果範囲は剣にかかる重力、支える力、果ては空気抵抗さえも含まれており、それら全てを合計した威力が襲いかかる為あれほどの威力を叩きだすことが出来る。詰まる所スキルを全力で行使すれば「常に威力が乗っている」状態を作り出すことができ、いかなる場面においても認識の許す限りガードを間に合わせることが可能となる。


これらの利点全てが封印されたのだ。




その事に気付かず奴の三次元的な高速攻撃を受け止めようとしてしまい、結果としてスキルは思うように発動せず防御が遅れ、完全に弄ばれることとなった。


打撃をもろに受けてしまっているので内臓はぐちゃぐちゃ、呼吸をするだけでひりひりとした痛みが全身を襲う。肋骨が一本砕けているが幸いにも肺には突き刺さっていない。

死ぬほど痛いのを我慢しながら肌の上に簡易的な回復魔法を三重に刻み、応急処置を済ませる。


他の損傷部位は右肩の脱臼、左手の骨折、最低10箇所以上の打撲と出血。

多少は効率が落ちるが、耐えられないわけじゃ無い。



「(魔導具までは再現されなくて助かった………根性勝負になる前に退場させられたら堪ったものじゃないからな。

まぁ、その方が僕は助かるかもしれないが………………)


    フンッ………!!!」


外れた腕の関節を回復魔法をかけながら無理矢理はめ込む。

パキパキパキッという軟骨がすり減るような音と激痛とともに恒久的な痛みが引き、徐々に右腕に力が入るようになっていく。



『まぁだ、遊べる~?

いひっ、いひっ、いひひひひひひひひひひひひ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


「化け物が………」



いくら耐久力に自信があるとはいえこうも力の差が歴然では消耗戦に等しい。こちらの攻撃はいくら引き付けても回避され、向こうの攻撃は防御すら間に合わない、おまけに反則級の威力と回復力。



『ほらぁ!!! ほらぁ!!!

もっとあがけあがけあがけあがけあがけぇ!!!!!!!!!!』



そのクセ剣さばきが驚くほどに綺麗なのだ。まるで力の流れを全て読み切っているかのように、()()()()()()()()()()()()()()()()()

本能そのものとは思えないような理性的かつ合理的で洗練された動き、昨日のあの子の動きとは比べ物にならないものだった。



すんでのところで僅かにガードが間に合い一命をとりとめているが、少しでも読みがずれると一瞬でやられてしまう。決して奴の剣から目を逸らすことが出来ず、緊張感が常に付きまとう。


奴が剣を一振りする度にどちらの血かわからない血飛沫が飛び交い、体育館を赤く染めて行く。

剣と剣がぶつかる度凄まじい衝撃が全身の骨という骨に響き渡る。





『ふふひひひひひひひいひああああああはははははははははっ!!!!』


「しまっ!!!!」



重心を後ろに預けた瞬間を狙われ、剣を下から上へ振り上げる。

いや、放り投げると言った方が正しいか。僕の木剣を、奴の剣ごと上空へ吹き飛ばす。

そしてがら空きになった僕の胴体へ、奴の拳が吸い込まれて行った。













最早、痛みは無かった。

有った所でもう意味がないと脳が痛覚をカットしたのだろう。賢明な判断だ。軽い麻酔にかかっている状態だが、そんなことはどうでもいい。


何故ならば、奴の拳が僕の腹部を貫通し、背中まで突き破っているのだから。


衝撃の後に、遅れて背後に僕の腹部だったものが飛び散る音が鳴る。

べちゃっ、ぐちゃっという肉肉しい音。いくら奴があの子の姿、つまりは16歳の女の子程度の質量であろうと、貫通されては相当な量の中身がぶちまけられたことになる。



精神世界ならこんなにリアルにしなくてもいいのになぁ。

そう思いながら、意識が遠のいていく。


視界が霞み、段々とぼやけて行く。



ずりずりずり、と奴の腕が引き抜かれ、空いた穴を塞ぐように血が滝のように流れて行く。




「……タ………ん!!………!!!」



あの子が何かを言っている。







痛い。










寒い。












暗い。


















さみしい。



















嫌だ。































たすけて。





―――――――――――



………む、しまったなぁ、またすぐに殺してしまった。

どうも力加減と言うものは難しい、ここしばらくナルダに閉じ込められていたからなァ、抑えが利かないみたいだ。



……つまらない。

物足りない。


現世には沢山玩具がいるというのに。







ああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい!!!!!!!!!!!!!!!!!







『ナルダアアァァァ!!!!! あのふざけた神獣がアァ!!!!!!!!!!!!』







奴さえ!!!!!!!! 奴さえいなければ!!!!!!!!!!!


奴さえあの場にいなければワタシは時期尚早とはいえ仮組でも現世に顕現できたというのに!!!!!!!!!!!


イライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラするイライラする!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





















………まぁ良い。


私はもう虫の息、後は指先一つでワタシが蘇る。


顕現さえできてしまえば、後はこちらのもの。

(悪意)なんてこの現世には腐るほど満ちている。



奴は殺す。

必ず甚振り尽して殺す。

ワタシをこんなガキの体に閉じ込め続けさせた事を後悔させてやる。

















………?????







………なんだ、この寒気は……?





殺気……? バカな、ワタシがこの場にいる限り私が殺気を持つことなどあり得ないはずだ。


だがこの震えは、確実に死への恐怖。


私が、いやワタシでさえ経験したことのないまでの殺気………!!!!




まさか…………






まさか………………………









『まさか………………………………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

































「殺してやる」

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