01 Sランクからの追放
「――――――以上が本日の予定です。」
メガネを掛けた魔法使い、ソルトンが今日のスケジュールを報告する。
そして予定を聞き終えた後、上座に座っていた男が話し出す。
名はシン。Sランクパーティ「錆の邂逅」のリーダー。
「おし、じゃぁ最後に一つ。」
そして私を指さしてこう言った。
「カーリー、お前はクビだ。」
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「えっ………ど、どうして……」
その言葉を遮るように、ソルトンが口を挟む。
「それはあなたが「無能」だからに決まっているでしょう。
何なのですか、<共感>なんて外れスキル。触れた物の感情が解る?バカバカしい、壁とでも話していなさい。」
挟まれたのは辛辣な罵倒。それも、ごもっともな正論であるから反論のしようがないのも辛さに拍車をかけていた。
「評判上3年間はあなたを雇って上げていましたが、戦力外のあなたはもう必要無いのですよ。」
あえて「無能」を強調しているあたり、相当私の生産性の無いスキルが嫌いなのだろう。
近頃彼の当たりがかなりキツくなってたように思うのは気のせいでは無かったのかもしれない。
「そうそう。なんか初めの方は宝探しとかに使えてたらしいけど、私の<迷宮地図>があればアンタみたいなゴミは要らないって訳。」
そして追い打ちをかけるように最近パーティに入ったばかりのリルナが罵声を吐く。
戦闘があまり得意ではない私の唯一の売りは、この共感によりダンジョン内の構造物と「共感」し、罠や隠し扉等の情報を得ることだった。
正確性はあまり高くは無かったが、私が入ったころの「錆の邂逅」はまだCランクパーティで、ちょうどサポーターが他のパーティに誘われていなかったため補欠要員として加入させてもらったのだ。
しかし先日加入したばかりのリルナの持つスキル<迷宮地図>はダンジョンに限るが周囲数mの構造を完全に把握することができるスキル。
おまけに私が先に見つけた罠や宝も、彼女が見つけたと主張すれば、スキルの正確さから手柄を横取りされてしまう。
これまで彼女に何度やられたことか。
それに「錆の邂逅」には女性は私とリルナの二人しかいない。
つまりはそういうことだ。
つまり私を雇う利点はこれで全て潰えたわけだ。
「初めの1年の恩を仇で返すようで悪いが、何せうちも必要以上に資産を分配する余裕は無いんでな、悪く思わないでくれ。」
とどめはシンの一声。
フランクな性格ではあるが、一度決めた信念は曲げない男。
一言目は冗談かもしれないが、二言目はもう確定と言っていいだろう。
三年間も同じパーティにいれば彼の人柄はよくわかる。
こうなってしまったらもうどうしようもない。
私は諦めて「錆の邂逅」の家を後にした。
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「はぁ………これから私、どうやって食べていけばいいんだろう………」
帰り道…と言っても私に帰る家はもう無く、途方にくれてとぼとぼ歩いていた。
パーティからの追放は魔王軍の活発化により人手不足になった今ではかなり減少しており、それでもなお追放されるという事はその人が「無能」であることを高々に宣言しているようなものだ。
当然あれから冒険者ギルドに行くも、結局他のパーティに雇ってもらえない。
「錆の邂逅」から出て行く際に前借の分も差し押さえられてしまったので財布もすっからかんだ。
チクショウ、どうしてこんなことに………
こんな外れスキルさえなければ……………
思い出すのはあの日。
私が「無能」と虐げられるようになったあの日のことだった。
読んで下さりありがとうございます。
思い切って追放系を書いてみましたが、楽しんでいただけると幸いです!
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