一話 知ってしまう。
「付き合ってください」
「俺からもよろしく、美弥」
「はい!」
夕日が映えてコンディションがよく成功しているみたいだ。
しかし屋上の戸で死角になっているところに俺は必死にバレないように息を殺す。
先に来たのは俺なのだがお馴染みである若山 美弥が俺にこんなことを言った。
「今から大事な話しをするから帰って」
そう言われたが「は?」となるのは仕方ないはずだ。
「は?」となっていると突如として屋上の戸が開いたので俺は危機を察知して死角になる場所の隠れた。
来たのは平山 甲星。俺と知り合いである。
そして若山は告白をした。
成功するやいなや二人は手を繋ぎ屋上を去る。
俺は少しイラッと来たので手を繋いでいるところを写真を撮ったがバレなかった。
我ながら危ないことをしてしまったな。
「はぁはぁ」
息苦しかったから肺ハイ!になっている。
しかっかし若宮と平山が付き合ったのか、もう高校生だから俺が言うことではないし関係はない。
お馴染みという関係だけなので俺は好きだとは思ってないしむしろタイプではないから恋愛対象外だ。
甲星が好きだったなんて驚きはあるがそれ以上にリア充が誕生したことに苛立ちを覚えてしまう。
さて本来ならここで日向ぼっこでもする予定だったが気分が良くないから出来ない。
「帰るか」
そう呟いているとスマホから通知が来る。
なにかな?と思い見ているとなんとそこには...。
章将『俺、黒木に告白してOKだったわ、すまんな』
「はぁあああああああああ」
長過ぎるため息をする。
もう一人の知り合いである水谷 章将もクラスでの人気が高い黒木 結沙に告白している。これで俺だけ一人だ。
もうなにか悟れそうな気分だ。
「もういい、グッすん」
泣き言を言おうとしたがただ悲しくなるだけなのでやめて諦めようとしている。
スマホを閉じて帰ることにした。
ガチャ
家に帰ってきた。
「おかえり、宗洋、今日あるけど行く?」
「もちろん!行くよ母さん」
「今日は一段とやる気なのね、なにかあったかしら?」
「あるからやる気なんだ」
「そう」
母と会話して自室に行き荷物を適当に放り投げる。
この嫉妬と鬱憤を晴らしてやるぜ!!
この家業は今までただ掃除するだけどこの気持ちぶつけてもいいはずだ。
あ、そうだ。
今日はどこからか聞いておかないと。
「母さん、今日はどこ?もう行きたいんだけど?」
「はい、これ」
紙を渡されたので見る。
ここか。
「わかった、じぁ行ってきます!」
「ええ、行ってらっしゃい」
そうしてこの鬱憤を晴らすべく急いで出ていく。
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「幸どうした?そんなに笑顔になって」
「宗洋が初めて掃除にやる気を出しているから」
「そうなのか!嬉しいことだ」
「ええ」
夫と子についての会話をする。
宗洋はこの仕事をしている人達の中で贔屓なしで一番才能がある。
普段ならいやいやしているのだけどなぜかは今日はやる気があるみたいだ。
バァン!
「ふぅー、これで終わりか」
終わったから帰るか。
だいぶ発散できたから良しとしよう。
夜の帰路を進んでいく。
今は気が済んでいるが明日から学校をどうして過ごそうか?
俺だけ気まずいから二人切りにしておこう。
そして気になることがある。
なぜ甲星から通知が来ていないのか?
章将はちゃんと俺に連絡してくれているのに甲星はなぜだ?
もしかして隠したいのだろうか?
でもメリットがない。むしろ隠したほうがデメリットがあるといってもいいぐらいなのに。
まぁ本人達が隠したいなら俺は黙っておこう。
そして家につく。
「ただいま」
「「おかえり」」
親が迎えてくれる。
そして笑顔でなにか気持ち悪い。何かあったのか?
「さぁ、ご飯にしましょう」
「うん」
ご飯を見ても普段より豪華だ。
「なにかあったの?」
不思議に思いポロッと出てしまう。
地雷を引いてしまったか?
「誰かさんがやる気を出したからだよ」
父がそう言う。
俺がやる気を出してこんなにも豪華になるの?
椅子に座る。
「「「いただきます」」」
食事を取っていく。
「そういえば返り血を浴びていないようだがどうやって済ましたんだ?」
父から食事中に言われる。
どういうことだ?
なにを当たり前のことを言っているんだ?
「当たり前じゃないの?」
フラットに当たり前かのように答える。
父母は驚いている。
なにか驚くことなのか?
「そ、そうか」
俺は食事を再開する。
いやー、それにしても美味しいわ。
未だに驚いている親を横目にして食べていった。
明日になったら章将に甲星からなにか来たか聞いておこう。
そう決めてトントン拍子でことを進めて寝ることにした。