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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

世界のレクイエム、勇者をそえて神へと捧ぐ

魔王の伝承


ある日、異世界より一人の男が現れた。

それは王国により召喚された人間であり、魔王を討ち滅ぼす勇者として饗された。


男は弱く、幼く、とても魔王に敵うとは思えなかった。

異世界から召喚された男は元いた世界よりも不自由な日々を送ることになった。

それは男に不満と復讐心を抱かせるには十分なものだった。


やがて時は経ち、勇者に相応しい力に身に付けたその男は、

世界中の精鋭達と共に魔王の本拠地へと襲撃を仕掛けた。


それは人類の存亡の危機を賭けた最後のチャンスだった。

その賭けは人類の勝利で終わることになる。


そう、勇者が魔王を討ち取った瞬間、その場の全ての者はそう確信していた。



だからこれは―――勇者の復讐心を知らぬがゆえの悲劇だった。


勇者は使う。その男の切り札。それはこの世界に召喚した王国への復讐。


ひいては自分自身の心にすら関心のないこの世界の全てに対して。



勇者の手より輝き放つは虹色の宝玉。その輝きは周囲の魔素を代償に使用者へ特別な力を与える。


魔素は全ての生物は存在する上で欠かせない物質。それ故に、使用者はその恩恵には預かれない。


神のみぞ許されし秘宝。それは異世界人の手により使用された。


その結果は顕著だった。勇者以外のあらゆる生物は崩れ去り灰になり、風にのって流されていく。


人も物も、大地や天地さえも崩壊していく。魔素は力に変換され、それは勇者の力となる。



勇者は魔王から世界を救い、そして滅ぼした。


勇者は神となり、永遠となった。


―――


勇者の特殊能力。それは「魔素の無力化」だった。


勇者は魔法が使えない。だから魔道具を集め身に付けた。


王国の協力もあり、人類の総力で集められた強力な魔道具を手にしていた。


その中には「神の残した遺産」も存在した。


この世の「魔素」を代償にするほど、使用者に特別な力を与える秘宝だ。


世界に魔素は必要だ。それはこの世界に生きる者全ての総意といっても過言ではない。


故に、その遺産は使われることはありえない。そのはずだった。


その男は勇者としてこの世界の呼び出された異世界人だった。


その身に魔素は必要ない。だからこそ、これは必然だった。




その世界には魔素と呼ばれる特別な物質が存在した。


それは目には見えない物質。ある賢者曰く「十三番目の神の素粒子」


それは世界を発展させた。魔法という存在も魔物という存在も、目に見える特別なチカラの全ての源流。


それは一つの世界そのものだった。故にそれを最も支配し操る者は「魔王」と呼ばれた。



人は神と決別し、されど神の恩恵を捨てされない。故にこれは神からの最後通告だった。


滅びの箱を捨てされぬ人は、その箱に残った希望を残し、滅び去った。



神に背いた人の報いだと囁くかつての旧神は目を閉じるだけ。

銀河の畔、そっと散った世界は

ああ、どんなに妖しく香ったでしょう...


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