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0004 ご令嬢、初めてのオリジナル魔法

説明が少し長くなってしまいました。


ミリアが起きられるようになってから、1ヶ月ほどがすぎた。季節は夏の雰囲気がでてきた頃合い。

「明日くらいにあのあたりの花がちょうど見頃になりますよ。」

と仲良くなった庭師のトムが言っていたし、せっかくなので庭でお茶とか飲みたい。

今日は庭に出ることが確定だ。


天気もいいし、ガーデンピクニック日和。

魔法に関する本でも読もうな。とりあえずまずは図書室へ向かうことにする。

起きられるようになってからは魔法を使うことが楽しくて、毎日のように魔法に関する本を読んで練習していた。


由緒正しき伯爵家お屋敷の規模はとても大きい。

ひとまずは体を丈夫にするための適度な運度に、面倒だと思いつつも歩いて図書室へ移動している。

その思考は、面倒な移動に使えそうな魔法を考えているわけである。


(せっかくだから動物とか魔物とかに乗って移動する?でも乗れるサイズって結構なサイズだし、毎日着ているこうゆうワンピースだと難しいわ。それならやっぱり一人で乗れるくらいの乗り物かしら。あ!あの某真っ青の蜘蛛みたいな戦闘能力高めの乗り込み型?でもまだこの体だと筋肉が足りずに体が支えられないかも、、)


思考がダダ漏れの主人につきそうキースはボソボソとよくわからないことを呟きながら歩くミリアに対して、トラブルの匂いをかぎとった。

屋敷内をそんな風に移動するのは極めて危ないのでやめてほしいと内心思っている。

物騒なものを考える前のまずは歩いて図書室へ行くことを目標にしてほしい。


「お嬢様、行きは抱えて図書室まで移動しましょうか?ただ、体力をつけるのでしたらもう少し歩いたほうがいいかとは存じますが。」


この1週間はほとんどキースに抱えられて、図書室へ毎朝行っていた。

そんなキースの提案に、


「そうね、歩くのは外に出てからあるけばいいのだし。まずは図書室が優先よ!魔法の本!」

キースの願いも虚しく、早く図書室へ向かえることに大そうご機嫌なミリアのであった。

なんせミリアの歩みだとリヒト様の執務室や応接室のある別棟の図書室へ向かうのに15分はかかるのである。


ミリアの今までにない元気っぷりに家族は喜んでいるし、使用人たちも最初は魔力酔いや、ミリアがいきなりぶっ倒れるんじゃないかと内心ひやひやとしていたものの、1ヶ月も経てば、使用人たちもミリアに慣れてきて、最近ではよく屋敷の庭のいろいろな場所に入り浸っては魔法をぶっ放し、もとい試しているので庭師のトムともよく話すようになったのである。


魔法を使っていて一つ気になったのは、状態を一定に保つ技術のほとんどないことである。屋敷内で使われている魔法を観察しているだけであるが、次元の概念が存在しないためか、状態を一定に保つことに対してまだまだ技術が確立していないようだ。

氷魔法で大量に氷を氷室に入れて冷蔵庫の変わりや、風呂を沸かすにしても水に火魔法を使って温度を調整する必要があるとか、エネルギーの無駄もいいところだ。


その中で気になったのはキースの使っていたポムムを取り出したりした魔法だった。聞いてみると、

「これはアイテムボックスですよ。お嬢様にお仕えすることになったときにリヒト様からいただきました。」

どうも時間経過のある魔道具アイテムボックスらしい。時計のようなものを巻いていると思えばそれが魔道具だった。でも上限は5つだし、生命体をいれることができないなどいろいろデメリットもあるようだ。そしてその魔道具はとても高価なものらしい。


(お約束のアイテムボックス!でも時間の経過はとめたいな。あとストレージ魔法はないのかな?)


というわけで、今日はそんなアイテムボックスの時間を停止させる方法を研究するために、関わりのありそうな魔法書を探しにきているのである。


図書室についたミリアはさっそく本棚を物色する。文字は今まで勉強していたおかげで読めるのである。

アルファベットのような構文で構成されている。魔法書に書かれているのは古い言葉で、今では魔法書専門の言語だと言うことらしい。

(公文書にも使われていた昔の言葉と言えばラテン語的なものかなーなんで翻訳しないんだろ。まあそんなことよりも。)


「アイテムボックスと言えば空間魔法かな?」

「お嬢様、空間魔法は古代魔法ですよ。関連する本も王都の王宮図書館の禁書庫に入っているものかと。」

「え、そうなの?でもキースはアイテムボックス持ってるよね?」

「これは、王宮魔道士の方が作成して、王様なんかが貴族の方々へ下賜されるものなのです。どこにでも作って売っているものではないのですよ。リヒト様は王宮魔導師のご友人にもらったと言っておられましたが。」

「そんな、、、、、いや、そうか、なら作ってしまおうじゃないか!ぐうう俄然やる気でてきた!!」


そう言ってミリアは本棚を物色し始めた。

(まずは、アイテムボックスの仕様を決めないとな。どのように使うのか。)


なにかヒントになりそうな本を探していく。

(攻撃魔法の基礎、水魔法と氷魔法の違い、ふむふむ。)


いくつかアイデアになりそうな本を参考にして、この世界における魔法の定義や使われ方を見ていく。

(アイテムボックスに時間が流れるってことは結局ある点と点を繋いだ空間に入れてるだけってことだよね。であればこれ試したいかも。)


ある程度仮説をたてたミリアは何冊か魔法書をキースに持ってもらい図書室のすぐ前にある庭にでる。最近のお気に入りのスポットである。


まずは実験用の道具を作るために木のスプーンを具体的に想像して魔力を掌に集める。

この世界の魔法は具体的に思い描く力の作用が大きいのである。すると掌の上に想像した通りのスプーンがつくられた。

毎日練習しているのでかなり早く形作ることができるようになった。


それを、ガーデンテーブルの上に置いて少し離れた位置に立ってみる。


(点と点をつなぐイメージで、、、、)

スプーンを作りあげないように注意しながら、手の平に魔力を集めてテーブルの上に置かれたスプーンに集中する。

すると、スプーンはテーブルの上からゆっくりとミリアの掌に飛んできた。

(あれ、思ってたのとなんか違う。)


ミリアがなんだかなあと首を傾げていると、集中しているときには声をかけてこないキースが珍しく声をかけてきた。


「お嬢様、、、、それは新しい魔法ですか?、、、」

「そうなの?ちょっと思ったのと違った結果になったんだけど。」

「似た魔法に対象物を引き寄せるものはあるのですが、宙を浮いて移動するわけではなく、設置面を転がってくる魔法なのです。モノを浮かせて手元に引き寄せるのは初めてみました。」

「キースの言ってるそれじゃない気がするから、じゃあ多分新しい魔法?じゃあ引き寄せ魔法アポートって呼ぶ!」

(アポートって超能力の一種だったとおもうけど、物を引き寄せるって意味では一緒だし。うーん、しかしさっきのは線をイメージしたのが悪かったかな、、、、あ、インターネットのイメージ?あれだと光の速さで物質の移動が、いや光の速さを試すのはまずい。失敗した場合あの質量があれば私が潰れたトマトになりかねない、とりあえずなんか意図せず新しい魔法ができてしまった。研究者としてはダメなんだけど、新しい発見と言う意味ではよかったことにする。)


そんなことを考えているミリアの側ではキースが感動した眼差しでスプーンを見つめていた。

「キースも使ってみる?こうやってね、魔力を手元に集めて、スプーンが自分のところに飛んでくるのをイメージするの。」


その後キースに教えながら何度もやっているうちに、

浮かさずに一瞬で手にスプーンを移動させることができるようになったミリアは、

「できた!」

と嬉しそうに満面の笑顔でキースに言う姿はまるで大輪のひまわりのようであった。


たまたま通りかかった庭師トムの息子のマーティが、そんなミリアをみて顔を赤くしていると、

後ろから、

「やあ、マーティ、そこで何をみているんだい?ちょっとこっちに来て話そうか。そう、男同士の話さ。」

と黒い笑顔のウィルに声をかけられて、拒否できるはずもなく即座に連れて行かれるのであった。


「あれ?今マーティとウィルお兄様がいたような?」

「二人なら奥の小屋の方へ肩を組んで向かわれたみたいですよ?」

「そうなの?変なウィルお兄様。じゃあこれは夕食のときにでも披露しようっと」


キースはウィルの行動を察してマーティの無事を心の中で祈るのであった。

ミリアの笑顔で(ウィルに)キルされた哀れなマーティ登場回でした。

だんだんウィルが残念なお兄ちゃんになってきた。

当初はイケメンの爽やかお兄ちゃんの予定だったんですが。

===


小説を読んでいただきありがとうございます!

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豆腐メンタルなので、絹ごしのごとく優しくあつかっていただけると嬉しいです。

嬉しいことは小さなことでもモチベーションに繋がる単純な作者です。

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