0030 ご令嬢、準備する
王都で噂になっている王子殿下がぞっこんの花売りの少女がとても気になったミリアは、すぐに王都へ行こうかと思ったが、気になることがあったので、一度ルイに相談してみることにした。
小型テルくん改を使ってルイに電話をかける。
「ハロハロ、こちらミリアです。オーバー」
「聞こえているよ、感度良好、テルくん改すごいな、この距離で電話できるなんて考えなかったよ。」
「なんだか懐かしいわね。まあこの世界中に魔素があるから、ある意味見えないネットワークみたいなものよ。それで、花売りの少女の話なんだけれど」
「王子ぞっこんのね、うちでも少し調べたんだけれど、やっぱり何もでてこない。」
「なるほど。でもやっぱり気になるのよね、違和感というか。まあ一度会うのが確実かしら。」
「そうだと思ったよ。それで、いつ王都にくる?」
「すぐにでもと言いたいところなんだけれど、準備が必要だからそれからね。2ヶ月後くらいかしらね。
それでルイにお願いがあるんだけれど。」
「嫌な予感しかしない。それに2ヶ月も花売りの少女が王宮にいると思うのか?」
「ええ、多分そのまま王妃の座につくまでいるんじゃないかしら?まずはお友達とかそうゆうポジションかもしれないけれど。」
「王妃狙い?平民の娘が?」
「ええ、そうよ、きっとそうなんだと思う。まあ普通の平民の娘ならまず考えもつかないようなことだろうけれどね。あ、お願いの方はプランまとめたら送っておくからよろしくね。それじゃ私これから準備があるから。」
「え、まてミリア、俺は一言も了承するなんて、、、、切りやがっったあああああ!」
ミリアは言いたいことだけ言うと電話を切ってしまった。
なんだかんだと言いつつ頼まれたことをきちんとこなしてしまう男ルイは、今回もミリアの計画に驚きつつも納得の面持ちで後から届いたプラン通りに準備を着々とこなすのであった。
ところ変わって伯爵家
ミリアはテルくんの性能についてのレポートを作成していた。
長距離連絡に使えることがわかったので、伯爵家の軍で使えないかローズに打診してみるのである。
小型化に成功したときに調子にのって、大量につくったテルくんにノアールの刻印をつけた後、
ある意味大人数でのテストとも言えなくないのだが、来月の定期討伐に間に合えばいいデータが取れるなとのほほんと考えていた。
その後テルくんはローズに
「さすがミリアちゃん〜!」
と大絶賛のうちに採用が決定し、実地テストということもあり、
キースが試験オブザーバーとして討伐参加が決定した。
そんなことを表ですすめながら、移り行く季節の中でミリアは王都へ向けての準備をすすめ、
あっという間に2ヶ月がすぎようとしていた。
ルイの不憫体質




