0028 ご令嬢、家に帰る
メリークリスマス!
翌朝には諸々の準備を済ませたクリストフ王子がくるだろうと考えた伯爵家一家は、
あいさつもそこそこに、タウンハウスから急いで馬車を出発させた。
ベリエの外門を出てから、ミリアは馬車に設定している扉について家族に説明することにした。
いろいろと緊張して説明したミリアも拍子抜けするほどに簡単に家族に信じてもらえたうえに、やはりいつも通りミリア褒め全開の反応である。
「さすがミリア、僕の娘は天使で天才だったんだね。」
「ミリアちゃん、なんてすごいのかしら。ママも嬉しいわ。」
「ミリア、、、、天使、、、、」
「オリバーは語彙力少なすぎだろ。」
ウィルはすでに知っていたので、オリバーのつっこにまわったようだ。
そして、いつも通り今はミリアを家族で抱きしめているところである。
「ウィル兄様、、、、たすけて、、、」
「はいはい、ミリアも苦しいみたいだからとりあえず離れて。」
ウィルが最近はアイドルコンサートで握手会を進行をするスタッフなみに家族に対して塩対応だ。
「そうだね。さて、では今日はもうだいぶ遅いし今急に家に現れても驚かれるだろうからね。明日の朝にあちらへもどることにしようか。と言ってもこの馬車もすでに屋敷と大差なくなっているどころか、屋敷よりも快適なんじゃ、、、」
若干最後は驚きと呆れているようなリヒトであったが、それもそのはず。王都に到着してから、短い期間ではあったが、研究者たちと交流したミリアがその知識でさらに馬車に魔改造を加えた結果であった。
(まさかあんなに簡単に感知センサーを作れるなんて、王都の研究者は本当に優秀)
いろいろと成果や学びの多い滞在となりホクホク顔のミリアである。
「そうね、みんなを驚かせないためにも今晩はゆっくりやすみましょう。」
そうローズが締めくくると各々は部屋へと別れて休むこととなった。
---翌日
「おはようございます。ママ、パパ」
食堂で朝食をとっていた両親に挨拶をすませるとミリアも大好きなクロワッサンを食べる。
訓練場(そう、訓練場も設置してある)で朝稽古を終えたウィルとオリバーもやってきてみんなでゆっくりと朝食をすごした。
朝食を終えると少しして、屋敷へとミリアの設置したワープくんを通り抜けて屋敷へと一瞬でたどり着いた伯爵家。
やはり各々は驚いているようであるが、一番の大事なミリアが無事にこちらに帰ってこれたことが大事だったようですぐに各々切り替えた。
突然いきなり現れた伯爵たちに使用人は驚いていたが、キースとクロエが取り仕切ってすぐにいつも通りの日常に戻ってゆく。さすが伯爵家の使用人たちである。
「おかえりミリア。」
「ただいま帰りました。ふふふ、ウィルお兄様ったら変なの。一緒に帰ってきたのに。」
「いいだろう、なんだかミリアがふと遠くを見ているようで」
「ミリアの家はここなんだからただいまでいいんだ。おかえり、ミリア」
「ふふふ、オリバーお兄様も、ただいまです。」
そうしてミリアが笑顔で二人を見れば、二人とも笑顔をかえす。
(ああ、こんな日常って幸せ。)
そしていつも通りの日常に戻っていくのであった。
翌日の早朝、伯爵家タウンハウスにて
クリストフ「ミリアに会いに来た」
セバス「ミリアお嬢様はおりません。すでに伯爵領へお戻りになりました。」
「なっ!?」
アルト「おい、執事、適当なことを言うでない。この方はクリストフ王子であらせられるぞ。昨日の今日ですでに出発しているだなんてそんな話があるか。」
「いえ、昨晩すでに出発されました。」
「な、失敬であるぞ!」
「クリストフ王子、昨日出発したのであればまだすぐに追いつけます。それに暗闇の中を急いで出発したのであれば、今日は少しどこかで休むのでは?」
「うむ、すぐにおいかけるぞ!王家の馬車であればすぐに追いつける。」
「は、すぐに準備をいたします。」
--3日後
「クリストフ王子、そろそろ一度戻りませんか。かなりの強行軍ですしもう追いつけるとは、、、」
「なんだと、、、王家の馬車で追いつけないことなんてあるか。王家の馬車だぞ!」
「王子、そろそろ我々には、その、甲冑をきたままなので、お尻が、、、、」
「王子、各々も限界を迎えております。ここは一つ戦略的撤退のご英断を。」
「仕方ない。皆まで疲れているのであれば一度戻って伯爵領へ迎えにゆく準備をしようではないか。よし、そうと決まればただちに王城へ帰還するぞ!」
(((まじでこのバカ王子、、、、転職しようかな)))
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残念ながら、クリストフ王子たちは追いつけなかったようですね。
アルトは王子をコントロールしようとしていますが、二人ともなかなかおバカ要因ですね。
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