0020 ご令嬢、研究する
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ミリアが王都で社交会デビューすることが決まってからというもの、準備することが山ほどあるらしい。
家族たちはみなドレスについてデザインをああでもないこうでもないと言い合っている。
リヒトが口をだしたいのはなんとなくわかるミリアだが、ウィルやオリバーまで意見を言っていた。
ミリアは普段好んで動きやすくて軽いワンピースを着ているが、王都の貴族はみな、威厳がどうこうと言ってかなり重たい格好をしているとルイに聞いた。流行りは、何枚もの重ね着でドレスの裾を膨らませて広がっているように見せるスタイルらしい。男性陣はノリノリでいろいろなデザインをどれも可愛いと褒めていたが、ローズはどうにもしっくりきていなかったようだ。
(ママがしっくりこないのは、このあたりのドレスがどれも男性うけする多分デザインばかりだからなのかな。これからどうせまた伯爵領に引きこもる予定だし、ちょっと違うデザインのドレスでも提案してみますか)
ということで、デザインについて今なおソファーで悩んでいるローズに声をかける。
「ママ、こうゆうデザインのドレスはどうでしょうか。」
そう言って、胸の下あたりできりかえのあるチュチュドレスのようなデザインを提案した。
「あら、ミリアちゃんこれは可愛いわ。流行りに近しい形なのに、これはミリアちゃんにとても似合いそうね。」
ローズベタ褒めである。
(よし、ママも気に入ってるし私もこっちの方がいい!)
「これは、少しこことここのところに細工すればスカートの裾も広がって綺麗に見えると思うのです。」
「それならこっちはこういうレースの方が似合うんじゃないかしら?」
そういいながらいろいろとローズと一緒にデザインに手直しをしているうちに楽しくなってきて、流行りにつかず離れずの可愛いデザインになった。
「ミリアちゃんこれはとても素敵よ。ふふふ。これを着たミリアちゃんは絶対誰よりも可愛いわ。」
「ふふふ、楽しみですね。」
(この膨らみのためのスカートは軽い繊維で作らないと絶対に重くなるな、、、)
「ママ、きっとこれはとても重たいスカートになってしまうと思うのですが、軽くて丈夫な魔物の糸とかありませんか?」
「そうねえ、シルクスパイダーの吐く糸とか、シルクワームならいいんだけれど、どちらも小さいから数を集めるのが大変なのよね。それにこの季節だと探してくるのも一苦労よ。それに今は依頼をだしても受けてくれる冒険者もこの季節はほとんどが暖かい地域にいるのよね。ダリオンも今は他の件で領を離れているから、雪解けまではもどらない予定だし。」
ダリオンとは、伯爵家の抱えている冒険者あがりの剣士のことで、達人である。亜人の血がまじっているらしくかなり筋力もあって大柄な風貌で、とても礼儀正しく、優しい。イケオジ。ナイスガイである。
(なるほど、糸として使えるような魔物はやっぱりいるのか。なら、化学繊維みたいなのを作る方がお手軽かな。それに魔物だけど養蚕業?もこの伯爵領でやりたいな。春から着手かな。おっと、とりあえず今は春までにドレスが先)
「ママ、それなら糸を少し研究してみるので、何か屋敷に軽い魔物の素材とかありませんか?」
「それなら、この間スノースライムをたくさん狩ってきたからそれの乾かしたのがたくさんあるはずよ。あれは、中の液体部分を守るために外側の膜がとても薄いのに強いのよね。」
「ではそれで一度試してみます。」
そう言うとキースに頼んで大量のスノースライムを乾燥させた物を部屋まで運んでもらった。
スノースライムは防水性にすぐれているので、普段は乾燥させてそのまま布と合わせて袋にしたり、そのままなにかと合わせるのが主流である。そのほかには粉砕した粉を扉や外壁に塗りつけて雨などによる劣化を防ぐ。
(コーティング材とかになるようなものなのね。おもしろい)
まずは粉砕して粉にした物を試してみることにする。
(まずは熱して溶かして糸上にして出したのを冷やしてみようかな。)
ということで、まずはゴンにその装置を作ってもらうことにした。
「ゴン、とゆうことでよろしく。」
そう言って設計図を詳細まで考えてゴンに魔力で送る。
「お嬢はん最近人使い荒いでっせ。っと、こんな感じでよろしいですか。」
そう言うとさくっと作ってしまった。最近ゴンの製作スキルのレベルがあがっている気がしてならない。
「ゴン最近本当に設計図渡したらすぐに作れるようになったわよね。頼りにしてる。」
「いやあそないなこと言っても何もでませんで。」
ミリアがそう言うとゴンは少し照れた。
(なんだか本当にいろいろな面で成長しているような、、、学習型AI?)
そういえば最近はミリアだけでなくルシフェルともいろいろな話をしているのだ。
ゴンについて気になるが、今は糸である。
とりあえずゴンに作ってもらった装置に粉砕したスノースライムの粉を入れる。
装置は実験用に小さめに作ってもらっているので、部屋でも作業ができる。
それにスノースライムは熱に弱いのですぐに溶け出すだろうと思っていた。
魔法でゆっくり温めていくと案の定70度くらいで完全液化した。そのままその装置で流して次は細くでてきたそれをすぐに冷却して糸にして巻いていくのである。
溶ける温度の調整だけ最初にしてしまえばあとは自動でできるので、そのまま溶かしていた分の糸を作ってしまった。
出来上がった糸を触ってみると、何だかちょっとモニョモニョしていて少し硬いところもある。
「このままだとドレスには加工できないわね、、、うーんどうしようかしら。」
ミリア何を混ぜるか考えこんでいると、
「魔石を粉砕してまぜたらどうだ?」
ルシフェルがいつの間にか部屋に戻ってきたようだ。
「魔石の粉って他の魔物の魔力を帯びていて反発するかと思ったけれど?」
「それは魔石の粉に魔力がまざっているからだ。粉砕するときに魔石に含まれる量と同じだけ以上の魔力を込めて粉にすればその魔石は後から込めた魔力に変わる。」
「なるほど! それでやってみる。」
「お嬢はん、魔石は全部こないだ使い切りはったでしょ。パパさんに新しい魔石もらわんとないんちゃいます?」
「そうだった。ちょっとパパのとこいってくるね。ついでに養蚕の話もしてくるね!」
そう言ってミリアは部屋を出て行ってしまった。
「「養蚕のはなし?」」
取り残された1匹と1機は不思議そうな顔を見合わせるのであった。
男性陣3人が部屋で集まって物々しい雰囲気をかもしだしている。
リヒト「二人とも選んだかい?」
兄弟「「ええ、選びました。」」
リ「ではいくぞ、ミリアに最も似合うドレスは、
「「「これだ!!!!」」」
コンコンコン
ミリア「パパ、こちらにいらしたのですね、ウィル兄様もオリバー兄様も集まってどうしたんですか?」
持っていた紙を無駄に息のあった連携プレーですぐさま隠すと、
「「「いや、なんでもないよ。」」」
「ふーん、まあ殿方の隠し事ですから、追求せずにおきましょう。」
まさか自分のドレスの話だとはつゆほども思っていないミリアであった。
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