0017 ご令嬢、初めての契約
本日2度目の更新
エルメリとルイの滞在中にはいろいろな物を作ったり、試したりしてとても充実した日々を過ごしたミリアであった。
帰ってしまってからは、少し寂しい気持ちにもなっていたが、
やはり乗ってきていた馬車もルイが作成した魔道具であったことがわかったので、それのアップグレードもミリアが手伝ったおかげで、帰りの旅路がさらに数日短くなったことと、快適になったことが書かれた手紙が届いた。
移動手段についてぼんやりと庭を散歩しながら考えていると、ふと思いついたことがあった。
「空、とべるんじゃない?」
この世界ではまだ道が思うほどに発達していないこともあって、陸路での移動に時間がかかる。
飛行船くらいなら簡単にできそうだが、そうすると空飛ぶ魔物や魔獣が気になるところである。
使用人に二人の予定を確認すると、ローズもオリバーも今日は屋敷にいるということだったので、一度二人に相談してみることにした。
「ママとオリバー兄様、今日は訓練が終わったらご相談があるのですが、お茶の時間を一緒にできませんか?」
ローズが気に入っているので音声を飛ばす魔道具を使って屋敷内だが連絡をしてみる。
「あら、ミリアちゃんが相談なんてもちろんよ、ほら、オリバーも片付けてらっしゃい」
オリバーに声をかけているとこまでがしっかり録音されてミリアの元に届いたので少し笑ってしまった。
身支度を整えたらくるだろうと思い、シルヴィーに連絡してお茶とお菓子と軽食の準備をしてもらう。
この間シルヴィが山に食材をとりにいっていたので、きのこのキッシュとマロンパイのレシピを渡してある。
(ああ、温度調整のできるサンルームがほしいな)
待っている間にいくつかの案は考えたので、すでに外の透明な覆いになる部分の素材についていろいろデザインとアイデアをゴンに伝えた。いろいろ考えて試しているうちに魔力を込めればデータのように想像した設計図をそのまま送ることができたり、念話のようなことまでできるようになっている。
そうこうしているとにこにこしたローズとオリバーがやってきた。
「ミリアちゃんお待たせ。」
「今日も美味しそうだな!」
和やかに今日の訓練の話や、最近の魔道具の話がすすむ。
「それで、ミリアちゃん、さっき相談があるって言っていたけれど?」
「そうなのです。空を飛ぶ魔物についてママとオリバー兄様にぜひお伺いしたくて。」
「空を飛ぶ魔物か。それこそ弱くて小さいのからドラゴンみたいにでかいのもいるしなあ。」
「そうなのですね、、実は今空を飛ぶ馬車のような乗り物を考えていたのですが、難しいでしょうか。。。」
「そうね、今のところ空を飛ぶには空を飛べる魔物と契約するくらいなのよね。でも空を安全に飛ぶにはそれなりに強い魔物じゃないとねえ。」
話を聞いていると、王都には精鋭の空を飛ぶことのできる魔物と契約した王宮騎士たちがいるということ。そして空を飛ぶ訓練を行っているので、ある程度魔物に襲われても戦うことができるらしいこと。戦うことができないとどこで魔物と遭遇するかわからないから危険度が高いということであった。
なるほど、たしかに空を飛んでいて急に攻撃されたとしたら危なすぎる。それに思ったよりも多くの空を飛ぶ魔物がいるようであった。
現実的なところで言えば、ある程度強い魔物と契約してのせてもらうのが一番安全そうである。
そうとなったら契約である。
召喚と契約の魔法についてルイにも相談して王都にある書物なども調べてもらったおかげで、屋敷の図書室にあった本以上にいろいろと細かい情報を得ることができた。
いわく、月のでる夜に行った方が契約しやすい魔物や、特定の媒介を必要とする魔物、契約に血が必要な魔物など、契約そのものがその魔物と一対一のため、一般の本にはよく契約される魔物についての記載はあったが、それ以外はすべてルイに調べて送ってもらった研究論文に書かれていたのであった。
そしてミリアは空を飛ぶ魔物と、もう一体どうしても契約してみたい魔物についての記述をみつけたので、今日はこうして夜更に外にでてきているのである。静かに移動するなら、いつも朝使っている念力くんでいいじゃないかと気づいたので、しっかりとお昼寝をして、夜中にゴンに目覚ましがわりに起こしてもらい、なんとか窓から念力くんで外へとでてきて、昼間準備してあった道具をアイテムストレージからとりだす。
綺麗な満月の夜である。
土魔法で直径1m程度の大きめの桶にエルダーヴァイスと呼ばれる花と水を一緒にためてある。その水面に魔力で魔法陣を描く。
そしてゆっくりと魔力を込めた。
(どうか成功しますように...!)
かなりの量の魔力を魔法陣に込めたところで魔法陣がパッと光った。
一瞬あまりの光に目がチカチカしているが、光の中から声をかけられた。
「我をよんだのはお前か?面白い魂をしているな。」
目がなれてくるとそこには月明かりに照らされて美しく輝くシルバーブロンドの長髪を後ろに流した中性的な顔立ちのイケメンが水面に立っていた。
「はじめまして。そうです、あなた様をお呼びいたしました。ミリアと申します。」
「ふむ、それでは魂の半分の名であろう。もう一つの名はなんという?」
「高円寺凛といいます。」
「なるほど、身に纏う魔力はそちら寄りだが、この世界の身体という意味では先の名か。して、我をよんでなにを求める?」
「あなた様と契約させていただきたく存じます。」
「ふむ、面白い。よいであろう。お前の魔力であれば、現れていても大丈夫そうであるしな。」
そういうと魔法陣に込めてあった魔力を全て吸い取ったようだ。
「ではお名前をお聞かせください。」
「お前がつけるのだ。」
「では、ルシフェルと。」
そうミリアが言うとルシフェルの左手人差し指とミリアの左手人差し指には魔力でできた細い指輪が嵌められているのであった。
「ふむ、名前も気に入った。契約も完了したようだな。」
そう言うとルシフェルはその指輪を外して魔力を込めると、ピアスに作り変えてしまい、そのまま左耳につけた。
ミリアも指輪から小ぶりのピアスに作り替えるとその場でピアスとしてつけた。
「ふわあああ。完了しましたね。とても眠たいです。とりあえず今後のことはまた明日話ましょう。」
そう言うと気が抜けたようであった。
そうして、片付けようとしているとパタリと気を失った。
「なかなかに面白い娘である。久しぶりのこちら側もまた楽しくすごせそうであるな。くく」
そういうと、気を失ったミリアを抱きとめたルシフェルはそのままミリアを抱えてミリアの部屋へと飛んでいってベッドに寝かせるのであった。
念話
(ゴン、ちょっとこれ試しに作っておいてくれない?こうゆう形の、、、、)
(お嬢はん、アップルパイの鮮明なイメージが届いてますで。)
(あ、、、、笑)
食べならが考えたことをその場でゴンに送るのは気をつけようと思うミリアであった。
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