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0012 ご令嬢、趣味をご褒美とのたまう

ミリアの魔法盾の腕輪製作により、強化されたローズとハンネス率いる合同軍によるコカトリスの複数体討伐も終え、なんだかんだ理由をつけて残っていたハンネスもモートン侯爵領へと戻った。


そもそも、コカトリスは1体の討伐が目的であったのに、なぜ複数体討伐になったかと言えば、ことの発端はミリアであった。

ミリアは個人的にその腕輪の功績からコカトリスの討伐部位をもらえることになったのだが、悩んでいると、コカトリスの羽毛がとても品質がいいという話をローズにきいたので、羽毛をもらうことにした。

コカトリスからとれる羽毛は少量でもかなりの保温力を有していたので、すぐさま撥水加工を施したダウンジャケットと、羽毛布団を作成した。どちらもとても軽くて保温に優れいているのだ。

そして、そのできたものをハンネス含めた家族に見せたところ、羽毛布団はもちろんのこと、ダウンジャケットへの食いつきがすごかったのである。

しかし、布団とダウンジャケットを全員分作るには量が足りなかったために、羽毛狩り(訓練)と称してコカトリス討伐が再度行われることになったのだ。そもそもコカトリスとはそうそうその辺にいる魔物ではないのであるが、ダウンジャケットのためにと、捜索したところ森のかなり奥にコカトリスを複数体発見することができたのだ。

また、ローズやハンネス以外にもコカトリスを討伐できるようにするために、コカトリス討伐に参加する兵士たちのために追加でミリアは魔法盾の腕輪を作ることとなった。そしてこの魔法盾は『ノアールの盾』と呼ばれるようになった。新しく作った魔道具には製作者の名前をつけることが多いらしく、危うくミリアの盾とよばれるようになるところだったが、ミリアがそれなら、魔道具を製作するときの名前は『ノアール』とするとしたことによって、『ノアールの盾』となったのだ。


ちなみに、羽毛をゴンにコピーさせたところ、なんだかんだコピーできてしまったので、ごまかしのききそうな足りない分のコカトリスの羽毛はゴンに秘密裏に補ってもらうことでコカトリス討伐訓練に終止符が打たれたのであった。


そして張り切りって魔道具製作や、羽毛布団や様々なパターンのダウンジャケットを製作して、ひと段落したころ、そのところのオーバーワークがたたって、ミリアは高熱を出して2週間寝込んだのであった。


疲労からの高熱とわかったのち、寝込んだミリアに対して、家族の心配はとても大きかった。

熱がさがったあとも安静にしているように言われ、心配させている自覚のあったミリアはその後の数週間を図書室や屋敷の敷地などでゆっくりと過ごした。

(まだまだこの体では無理はできないわね。)


季節の頃は秋の収穫祭である。

この週末に収穫祭が催されるため、準備が忙しいようであった。


「ミリア、もう大丈夫なのかい?」

朝食の席でそう心配するのはリヒトであった。そもそもリヒトも珍しくかなり疲労している様子。

「もう大丈夫です、パパ。少し無理をしただけでしたから、それに数週間ゆっくりとすごしましたよ。ふふふ。それよりもパパも少し疲れていませんか?」

「ああ、ミリア僕の天使、すまないね、少し疲れて見えるのは今年の収穫祭で新しい催しを行うことになってね、急に決まったことだったからその準備で忙しくしていたんだよ」

「何を行うんですか?」

「剣術大会よ、ミリアちゃん。そして、景品にはミリアちゃんの『ノアールの盾』とダウンジャケットよ!」

ローズがミリアの質問に回答し、説明してくれた。

いわく、今回のコカトリス討伐に参加したメンバーにはその報酬の一部を働きに応じて、ダウンジャケットもしくは羽毛布団を進呈したそうだ。


そして少し朝晩冷え込むようになってきたこの頃、ダウンジャケットや羽毛布団を持つ者たちは実際に使ってみてたわけだが、、


「それがどれだけ素晴らしいかを軍の中で自慢しまくってたらもちろん、他の兵士たちにもチャンスをって言い出すし、どっちかを持ってる兵士たちは持ってない方をほしくなってしまったようね。もしくは家族のためにと。それで今回の剣術大会が開かれることになったのよ。」

実は奥さんに取られた人が多かったんじゃないかと考えたが、ここは言わぬが花である。

今回の討伐には報奨金がでるとあって参加希望者は多かったのであるが、そのうちを締めていたのがまだ新婚世帯などの若手の兵士たちであった。

新婚のうちは何かと入用であるし、子どもをつくることも考えると今のうちに稼いでおきたいという気持ちが大きかったようだ。


ちなみに軍の9割以上が伯爵領に家族や実家がある。

そして、軍と言っても基本的には魔物討伐と治安維持が主な役割なのである。確かに危険ではあるが、魔物討伐には大抵その魔物の種類や危険度で報奨金や討伐部位をもらえるし、そもそも給与の支払いは伯爵からのため、安定しており、家督の継げない次男以下にはそれなりに人気の就職先でもあるのだ。


「それから、ミリアちゃんの『ノアールの盾』はね、兵たちの間でいつも争奪戦なのよ。だから一部に固定の優先枠を作ってあげようかなあと思って。」


『ノアールの盾』には魔法用とキースに遊びで作ったものを発展させた対物理用のと二種類あるのだ。

データをとるために実際に軍で使ってもらっていたのであるが、なかなか好評で、すぐにかなりのデータが集まったため、現在はそのどちらも合わせた物理も魔法も防げる盾の試作品を運用してもらっているのである。


「ママ、それなら私が優勝者には景品として盾以外の専用の魔道具を作ってあげる。」

「まあミリアちゃん!」

「やはりミリアは天使だっ。」


(最近ちょっと凝ったの作ってなかったから、作りたかったんだよね。それに特注って言えば受け取る方もかなり気合入れて私の試作にも付き合ってくれそうだし。これぞ、win-winな関係!)


最近の引きこもり生活に若干の飽きを感じていたミリアの発言によって、

幸か不幸か勝者には追加での景品が贈呈されることとなり、剣術大会はさらなる盛り上がりを見せるのであった。

ノアールは、ミリアがもとの世界でリンとして遊んでいたときのあだ名です。


この剣術大会の優勝者、悪名高いマッドサイエンティストとも呼べるミリアの餌食になるのでしょうか。。。


=======

小説を読んでいただきありがとうございます!

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