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0011 ご令嬢、お母様にねだられる

誕生日パーティーの翌朝、お祖父様が泊まっていることもあり、ゴンに急かされたのち、なんとか用意して食堂へ。


簡単にウィルとリヒトに挨拶をして朝食をしていると、朝稽古を終えたハンネスとローズが入ってきた。

オリバーは稽古のあとに身支度を整えているらしい。


オリバーが帰ってきてからは毎日朝稽古のあと水浴びをしていたのだが、そういえばとミリアの部屋には設置していた温水シャワーを部屋の浴室につけてあげたのだ。もともとは魔道具でお湯を沸かしたものを水と混ぜて使っていたので、初めから温度調節もできるようにしたシャワーを設置すると喜んでいた。一日中オリバーの機嫌がいいので、シャワーのことが家族にもバレ、結果全室に設置することになったのであった。オリバー曰くたしかにお湯と水をまぜるだけのことだが、毎日面倒だったらしく、とても喜ばれた。

そしてそれはもちろん客室にも設置されているのである。


「おはようございます、お祖父様、お母さま。」

入ってきた二人にミリアは挨拶をした。


すぐさま、かなりテンションの高いハンネスとローズがミリアのところへやってきた。

「昨日のシャワーの件でミリアは天才だと思っていたが、さらに天才だった!」

「ミリアちゃん、ママもね、あの腕輪ほしいわ!!!」


何事かという顔をしているリヒトとウィルのために、ローズが説明を始めた。オリバーに昨日渡した腕輪の効果はなかなかすごかったようである。魔法を防ぐし、その魔法の魔力をそのまま盾の魔力として使うため、実質起動しているだけで魔法を防ぐことができると言うのだ。思った通りの性能でミリアは安心する。しかし聞いていると最初は初級魔法から始めたものの、最終的には上級魔法まで使って盾の精度を試したらしい。なかなか本気でやったようだ。ちなみにそれ以上の魔法を使おうと思うと、屋敷の訓練場では強度的にも、威力的にも危ないので、今度はどこか討伐の際にもっと高度な魔法で使ってみると言っている。どうもコカトリス討伐の件で使いたいらしい。コカトリスの持つ石化の魔法をこれで防げるのであれば、戦闘がかなり楽になるらしい。

たしかに、コカトリスの石化の魔法を防ぐための人員とそれらを守るための人員や食料などいろいろな準備を合わせると、この魔道具一つで代替できるのであれば、喜ばずにはいられないだろう。

(試作試験はキースにも手伝ってもらったし、あとでお礼言っておこうっと。)


ハンネスはあまりにも興奮しており、ミリアを天才だとベタ褒めである。将来は王宮魔導士も夢じゃないとか言い出したので、そこでとりあえずストップをかけることにした。ミリアには王宮魔導士なんてそんな面倒なものになるつもりは全くないのである。伯爵領に引きこもって思う存分研究に明け暮れたいのである。


「お祖父様、私は王宮魔導士ではなく、この伯爵領にて伯爵領の発展のために魔道具を作りたいのです。」

「王宮魔導士よりも領を発展させる心持ちとは、さすがミリア。わしの孫だ。」

(お祖父様、あんな厳しそうな顔してるのに、実は孫バカなのかな)


そんなことを考えていると、身支度を済ませたオリバーがやってきた。

「ミリア、あの腕輪は本当にすごい、やっぱりミリアは天才で天使、いや神、、、」

なんだかよくわからない方向にオリバーがつき進もうとしている。


ローズたちも説明が一通り終わったようだ。


「ミリアちゃん、あの腕輪本当にすごいのよ。だからね、お母さんもほしいわ。大変かもしれないけれど、、、」

さっきからローズはそれしか言っていない。どうしても欲しいらしい。

お願いと言って、むぎゅうっとミリアのことを抱きしめてきた。あの凶暴なお胸さまを全力で受け止めて、ミリアに否はない。


「お母様、もちろんですわ。お母様の分もお作りします。あと、よろしければお祖父様の分も。」

「本当に?ミリアちゃん、お母さんとても嬉しいわ、ふふふ」と言ってますますローズはミリアを強く抱きしめるのであった。

(天国が見える)

お祖父様もとても喜んでいるが、酸欠でそれどころではなくなっているミリアはウィルに助けだされたのだった。


とりあえず二人の分も作成することを約束した。あとはオリバーの使用感や、発動までの違和感などをヒアリングしつつ、魔法を受けたあとの盾の強度などいろいろな面で午後はデータをとらせてもらうことにした。

全体的にはかなりいいパフォーマンスであったようだが、使い方の面でできることをもう少し説明をしたり、ローズとハンネスのサイズに合わせた盾の展開の大きさなどを実際に試作機でためしてもらったりして、一日過ごすこととなった。


盾の実際の耐久値試験のために、外で試験をするなら、マッドゴーレムにでも装着して実験すればいいと言って、しれっとためしに作っていた自動形状再生の魔道具を使えば、それも訓練に使えるから欲しいとハンネスとローズにねだられることになったりはしたものの、大人用やこの世界での実用面、またハンネスやローズといった実力のある者の戦い方を見ることもできたので、ミリアの収穫もとても大きなものとなった。


くたくたになって夜部屋へ戻ると、キースがお茶を持ってきてくれた。

「お嬢様、本日は一日中お疲れ様でした。ミルクティをお持ちしました。」

お礼を言ってうけとると、キースも少し微笑んだ。もともとあまり表情の変化のなかったキースであるが、最近は時々こうして微笑むのである。


「キースありがとう、とても美味しい。それから、腕輪の作成も手伝ってくれてありがとう。オリバー兄様はもちろん、お祖父様もお母様にも褒めてもらえるようなものになったのはキースが手伝ってくれたおかげよ。ありがとう。」


そう言うとキースは微笑んだ。

「お嬢様のお手伝いとしてお役になてたなら何よりです。」

(これは、その辺の女の子ならころっと落ちそうな微笑み、、、)

と全くもってずれたことを考えているのであった。


実際のところ、たしかに魔法をぶつけて強度をみるだけなら、ミリア一人でもそれこそ今日行ったようにゴーレムに設置して、そこに向かって魔法を放てばいいだけなのだが、それでは使用時の細かなフィードバックがもらえない。

ミリアはこの腕輪を作るときに、使用者としての意見を聞くべく、かなり細かい質問を何度もしながら、キースには何度も試験に付き合ってもらったのである。また、キースも感覚的なことも含めてそれを言語化してミリアにしっかりとフィードバックを行っていたので、今回の腕輪作成は驚くような速度で高品質での実用化へと至ったのであった。


「これからも手伝ってもらうことが増えると思うけれど、よろしくね」

そう笑顔でミリアはキースに伝えるのであった。

(あれほどに細かい実験に付き合ってくれるなんて、あの悪友以来の逸材だわ。これからも絶対手伝ってもらわないと。)


ミリアはとても満足そうにするのであった。

やっとミリアが魔道具をたくさん作り始めましたね。

そして、キースはミリアの試作試験に散々付き合わされているのに笑顔なんて、、、

キースの心のうちが知りたい。


ローズは相変わらずけしからんです。

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小説を読んでいただきありがとうございます!

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豆腐メンタルなので、絹ごしのごとく優しくあつかっていただけると嬉しいです。

いいことはモチベーションに繋がる単純な作者です。

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