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0010 ご令嬢、誕生日パーティーに参加する

オリバーが伯爵家に帰ってきてから2週間ほどが過ぎた。

帰ってきてからは毎日のように一緒にお茶を飲んだり、散歩に行ったりするようになったので、オリバーのミリアに対する時々変な行動もだいぶ落ち着きを見せ始めた頃である。


今日のお昼にはオリバーの誕生日パーティーが行われる。

ガーデンパーティにする予定になっていたが、清々しい快晴となった。


(きゅふう、今日は快晴ね。オリバー兄様のお誕生日だし、晴れて本当によかった。)

ベッドでゴロゴロしながらミリアはニコニコと窓の外を眺めていた。

最近では、魔法の訓練がてら朝カーテンを開けるのはベッドから魔法で行っているのである。

真面目と言うべきか、御行儀が悪いと言うべきか、、、


「お嬢はん、はよ起きなはれ。カーテン開けたんやったら起きてるんでっしゃろ。」

最近のゴンはミリアと話始めた頃よりもさらにベッタベタの関西弁を話すようになっている。


「いつからゴンは私のめざましを兼任するようになったの、、、」

部屋のカーテンは魔法の練習のために自分で開けるからと、キースを朝よばなくなったミリアは最近、二度寝を覚えたのである。


「最近二度寝ばっかししてはるからですわ。今日はノリー兄さんの誕生日パーティーやゆうてたやないですか。楽しみにしてたんやし、ほら、準備した誕生日プレゼントの最終確認でもしたらどうです?」

「そうね、ゴンの言う通りだわ。たしかに、お兄様の誕生日プレゼントの最終確認は重要ね。」


ミリアはオリバーの誕生日プレゼントに自作の魔道具を用意していた。

その魔道具は腕輪型で、魔力を込めて起動すれば、腕輪を中心に最大1m四方の縦のような防御フィールドを面で形成する。サイズは使用者のイメージによって起動時に決定することが可能である。今回は魔法攻撃を防ぐ盾としての役割で作った。継続的に魔力を注ぎ続けるなどナンセンスの考えから、使用者の魔力で起動させることをトリガーとしたのちは、基本的には外の魔力を腕輪が吸収して防御フィールドを自動で貼り続けることができる。少量の魔力でも維持できるようにはしているものの、魔素が通常より少ない状況での展開維持のために今後は小型魔素バッテリーの役割も腕輪に組み込むつもりである。まずはオリバーの誕生日プレゼントとして渡して、使用感を聞いてみたいところなのだ。


ミリアはモゾモゾとかけていたブランケットを魔法で片付けた。

そうして起き上がるとこれも魔法で髪の毛を束ねて魔力でできた板のようなものに乗ってふわふわと浮きながら奥の扉から繋がっているバスルームに魔法で移動した。

使われている魔法もその制御も実に高等な技術であるのだが、如何せん使っている本人は寝ぼけ眼のままである。実に残念なミリアなのであった。


バスルームで身支度を整えて、さらに衣装部屋へ移動して今日のために用意したサマードレスに魔法を使って着替える。モノを移動させるアポートの魔法を練習したときの副産物でできるようになった、モノを浮かせる性質を利用して、それを独立の魔法と定義して使えるようになってからと言うもの、面倒なことは全て魔法任せなのであった。この固有魔法を『念力くん』と呼んでいる。相変わらずひどいネーミングセンスである。


「さあ用意できたわよ!」

「はいはい、まずは朝食食べてきてください。今日はお嬢はんの好きなクロワッサンでしょ?」

「そうだった。昨日一緒に練習したんだったわ。朝ご飯食べたら一緒にプレゼントの確認よろしくね」


そう言って、おしとやかに急ぎ足で食堂へ向かうミリアの姿になんとも微妙な心境になるゴンであった。


朝食も終えてオリバーの誕生日プレゼントの最終チェックも終わったので、わくわくしながらミリアは部屋で招待客が来るのを待っていた。さすが伯爵家、パーティーの最終チェックは終わっているようで使用人たちはバタバタはしていないものの、いつもよりも準備することが多く、忙しそうであった。


しばらくするとキースが迎えにきた。

「お嬢様、お客様がもうじきいらっしゃいますから。お庭のほうへ。」

「わかったわ。行きましょ、キース。」

そう言うとミリアはパーティー会場である庭へ向かうのであった。


会場は昼の集まりなこともあって和やかに進んでいる。

両親と離れて回りをみまわたしながらケーキをつまんでいるとウィルに声をかけられた。


「こんなところにいたのか。父上たちが探していたぞ。」

「そうなのですね、そういえば挨拶とか全然してなかったです。でも、今日はオリバーお兄様がメインだし?」

「お祖父様がいらっしゃったんだよ。」

「なるほど。ではそちらへ行きましょう。」

「では、お姫様」

そう言って茶化してくるウィルの腕を掴んで、エスコートされながら家族が集まって話しているところへ向かう。


「父上、母上、ミリアを連れてきましたよ。」

「ああ、ミリアよかった。お父様、紹介いたしますわ。娘のミリアです。」

「お祖父様、お初お目にかかります。ミリアです。よろしくおねがいします。」


ローズに紹介されたのち、少し元気に笑顔でハンネスに挨拶をする。


「おお、ミリアか。初めまして。と言っても実は生まれて1ヶ月ころに一度抱き上げたことがあったが、こんなに大きくなったのか。」

「お祖父様はミリアが生まれたときに一度屋敷へいらっしゃったんだよ。と言ってもミリアは覚えていないだろうね。」

(へえ、珍しい。)


「ミリアが将来ローズのように剣術や武術を身につける気になったらその時は稽古をつけようじゃないか。」

「お父様、ミリアは今のところ魔法の方が興味があるようですの。ですから、引き続きオリバーにしっかり稽古をつけてくださいな。」

「うむ、そうか。わかった。オリバーはだいぶ使えるようになってきたよ。まだ身体は成長途中だからあんまり無理はさせんがね。」

「ありがとうございますお義父さん。」

「そういえば、お祖父様、こちらへくる途中の魔物の状況はどうでしたか?」

「ああ、それがな、どうもコカトリスが通常よりも森の浅いところまででてきていたようだな。」

「それは少し物騒な話になってきましたわね。詳細は後ほど。」

「ああ、そうしよう。」


そのあと、ハンネスは先に屋敷の客室へ戻った。


ミリアはウィルと少しだけ何人かの招待客らと一緒に話をしたところで、先に部屋へ下がることにした。

そもそもミリアはまだ社交界へお披露目が済んでおらず、今日はオリバーの誕生日パーティを昼間に屋敷で行うという状況だったため、参加していただけなのである。今日の招待客のほとんどは領内の商人や役人、そして今後オリバーが所属してゆくことになる伯爵家の軍の面々が主だった招待客であった。


ここ、シャルラ王国では、魔物の脅威から身を守るための自衛に、領地を持つ貴族に軍の所有が認められている。

もっとも、これに大して王国には魔物の素材の提供など税としていくつか納めなければならないものはあるが、それでも魔物の脅威に対抗するため、そしてそれらの素材や、大自然の恩恵を享受するには、王都から離れた地域の領地では特に強くあらねばならないのだった。


現状ではウィルがフェルデンツ伯爵家を継ぐことになっているので、オリバーは領に残るのであれば軍方面に所属することを望んでおり、軍事的な方面からウィルを支えることを望んでいるのだ。

伯爵家は貴族として珍しいほどに家族仲がよいが、兄弟仲もよく、喧嘩もするがお互いに文武自らの秀でた方面で、この伯爵家にとっての繁栄を望んでいるのである。ミリアの状態がよくなったことも相待ってその気持ちは二人ともさらに強くなっているのであった。

国名をそういえば紹介していなかったので、やっと紹介できました。

お祖父様、チラリと登場です。


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豆腐メンタルなので、絹ごしのごとく優しくあつかっていただけると嬉しいです。

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