1.親友がちょっとよくわからないことを言ってきた
「シェーラ、僕の未来のお妃さま!幸せにするからね!」
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夢を見た。小さい頃の夢。
私が第2王子であるジルの婚約者になった日の夢。
ガタガタと揺れる馬車の中。
私はうたた寝をしていたところ目を覚ました。
今は通っている学園への登校中だ。
貴族たちが通う由緒正しい王国の学園だ。
「シェーラさま。間も無く学園に到着いたしますのでご準備を。」
側に仕える私の侍女マリアに声をかけられて、眠たい目を擦った。
ほどなくして馬車が緩やかに停止し、扉が開かれた。
フットマンのエスコートのもと、馬車から降りて私は学園に到着した。
「シェーラさま!ご機嫌よう。」
「ご機嫌ようシェーラさま、本日もお美しいですわ・・・」
馬車から降りるなり私はわっとたくさんの生徒に囲まれた。
「みなさんご機嫌よう。お元気そうで何よりですわ。」
囲まれた生徒たちに返事を返しながら私は門を潜り、教室へと向かいはじめた。
「わー今日もすごい人気だなぁーストラバー公爵令嬢様は・・・」
「まぁあの美貌を持っていてなお気取らない優しい方だし・・・何より第2王子の婚約者だからねぇ。」
「素晴らしい方なのですわ!でも恐れ多くて中々近づけないですわ・・・」
私を囲っている生徒たちの目もほとんど私に向いて降り、一部ではヒソヒソと離しているのも聞こえてくる。
私、シェーラ・ストラバーは裕福な公爵家に生まれた少しばかり幸運な女です。
趣味はおしゃれと自分磨き。
他人がどうであろうと関係はないですが、私は周りに完璧に見られたい完璧主義だったりします。
そして私にとってはちょっと厄介な肩書きが付いています。
それが、”第2王子の婚約者”です。
「シェーラさま、本日のお昼、よろしければご一緒いたしませんか?」
「ずるいですわ!私と・・・!」
「私ともお願いいたしますわ!!」
毎日のように令嬢たちに囲まれて過ごすことになったのも、この第2王子の婚約者だからという点が9割だ。
第2王子といえど、継承権は第1王子のミラン様にあるので、私はただ王家に嫁入りするだけの感覚だ。
権力も持たない第2王子の婚約者に群がって媚び売って何が楽しいのか・・・。
正直わからない。うーんわからない。
「あ、シェーラ!!」
今日も今日とて令嬢たちに囲まれて困っていると、ようやく助けの声が私の耳に届いた。
「シルヴィー。おはよう!」
私を呼ぶ声とともに姿を表したのは私の親友であるシルヴィアーナ・ヴァン。
シルヴィもヴァン公爵家のご令嬢で小さな頃からの私の良き理解者だ。
薄いグリーンのウェーブがかったふわふわの髪を揺らして私の元へと歩いてくる。
「シルヴィアーナ様よ!今日も素敵だわ・・・」
「嗚呼、シェーラ様とシルヴィアーナ様が揃われたわ!お二人揃われると本当に最強ですわこの世に敵なしですわ!!」
シルヴィーと私が揃うと、まわりの令嬢たちの声も大きくなる。中にはうっとりする人もいる。
「はいはい、いつもありがとう〜!私たちこれから2人でお話しするから、みんなまたあとでね!」
いつもはもう少し令嬢たちとの会話を楽しんでから切り上げるのだが、今日は顔を合わせたなり、2人で話がしたいと言い令嬢たちを巻くことに。
何か相談事でもあるのだろうか?
シルヴィーに、行こうと手を引かれて令嬢の輪を抜けると、学園の外れにある庭園に連れてこられた。
「朝からこんなところで話をするなんてどうしたの?」
連れてこられた庭園は朝とは言わず基本的に人気のない場所だ。
美しい花たちが育成されており、景観も非常に美しくて人が集まっても不思議ではない場所なのだが、私たちのような公爵家のものや、割と高貴な身分の人が休むために使いことが多いため、あまり人がよりつかに場所として定着してしまっているらしい。
「どうしたもこうしたもないわ!あんた聞いてないの!?」
「な、何を・・・?」
シルヴィーはまくしたてるように早口で私に問い詰める。
彼女は普段からふんわりニコニコ〜という感じなので、眉間にしわを寄せて早口で私に問いかけるなんて珍しいことなのだ。
「まぁまだ正式段階じゃないってことかしらね・・・」
「だから何が??」
シルヴィーは何も知らない私の様子をみて顎に手を当てて考え込むようにした。
何か重要なことでも発表されたのだろうか?
うーんうーんと数秒うなった後、シルヴィーは意を決したようにして私の目をみてきたため私も視線をあわsた。
「今からいうこと、落ち着いて聞いてね。」
「う、うん・・・?」
シルヴィーはそう言って私の両肩に手を置いた。
深呼吸をして解き放った言葉は、私の頭も真っ白になるような言葉だった。
「第1王子のミラン殿下が、王位継承権を放棄されるそうよ。」
「・・・・え?・・・・待ってそれってつまり・・・?」
「あんたの婚約者のあのバカ王子が王位継承権第1位になるのよ。」
そうそれは、考えられないような言葉だった。
私の婚約者である第2王子のジルが、王位継承権第1位?
必死に頭で考えたが、ちょっと理解ができなかった。
なぜなら彼は、王子としての職務を放棄した、
部屋から一歩も出ない、ダメダメ王子になっているからだ。
「いや、そりゃないでしょ。」
シルヴィーからの言葉がにわかに信じられず、私は半笑いで無い無いと手を降った。
お読みいただきありがとうございます!
そんなに長い話にはならないかとおもいます!
現在連載中の私が選んだ婚約者の息抜きに書いて行きたいとおもいます。
多分ギャグ要素強めになるかなぁとおもいますが、
どうぞお付き合いいただければ嬉しいです♪