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オレ達問題児ですか?とっととダンジョン入れや!

間延びしすぎやろ。

 奇しくも作戦会議が終わったのは天組地組同時であり、カオスとカテリア両クラスの代表は同時に教室を出る。


 お互いの考えはだいたいわかる。廊下で足を止め、お互いのクラスメートが揃うのを待つ。


「ルールはどうします?」


 カテリアの質問にカオスは答える。


「お互いが指定する相手クラス3名のタイムでどうだ?合計タイムか各個の勝敗かは任せよう。指定された者がチームにいれば、相方はかまわない」


 最初からカテリアの想定外。如何様が3回できる前提での提案。


 一見平等なルールだが、想像の斜め上。それも、選手を自分たちでなく相手に決めてもらうのがミソだろう。


 それでいて、このルールでなら地組は勝てると思っている。


 そしてこのルールから想定できるのは、盲点をついた手段は全員ができるわけではない。できるなら、平均や合計タイムで勝負を仕掛けられる。


 最小2人、最大3人が可能。4人以上できるなら5本勝負をしかけるはず。が、


「各個の勝敗でお願いします。

 追加のルールで先鋒はクラス1チーム目、中堅は7チーム目、大将は最終チームで固定。指名のタイミングは出発の前でお願いします」


 すぐさまその条件で勝てる可能性のある、それでいて不自然でない追加のルールを提案する。5本勝負に持ち込むのは嫌な予感しかしない。それこそ、あらゆる手段を尽くして、勝負を楽しむより勝ちにくる。


 1戦目で相手の出鱈目を理解して、2戦目までに解析して連勝で勝つのが必要になる。タイム合計だと1戦目が重くなる。


「最終のチームはお互いに指定しないわけだな」


 それはそれでありだろう。カオスとしても問題ない。直ぐ様計算する。


「では、お互いに1人目を決めようか。どちらからにする?」


 多少の有利不利はある。


「1人目は此方から決めるので、2戦目はそちらからお願いします」


「いいだろう」


 カテリアは地組の1人目の片方は誰か確信している。故に、過剰戦力にした方がよい。奇策でこられるとここは勝てない。


「ヴィン・テトムさんを指定します」



 カオスは少し考える。


「アシャ・ノーランさんを指名する」


 天組の錬金術師。非戦闘要員だが、ケイも錬金術師なので留意したものと思われる。そしてどちらが真っ当な錬金術師と考えた場合にアシャの方が該当する。


 しかし非戦闘要員というのが曲者で、相方がよほど優秀でない限り地組が正攻法で勝てる。必然的に相方は強い人間にならざるをえない。


「ケイ、あれの準備を頼む」


「了解。リーンさんも宜しく」


「わかりました!」


 2人は作業部屋に向かう。


「俺達はダンジョンに向かうぞ」


「私達も向かいましょう」



 






 そしてダンジョン入り口に到達する。


「一年ども来たか?」


 平たい顔で禿げた筋肉質なおじさんが確認する。


「もう少し待ってください。少し準備で遅れている奴がいます」


 懐から懐中時計を取り出し、時間を確認する。


「そうか。未だ時間に余裕はあるし、いいだろう」


 そうこうしているうちに、かなり大きな自動弓を背負ったケイとリーンが表れた。


「なんだ、リーンもそれを使うのか?」


「せっかくなので使用感をレポートします」


 これで遅れたと思ってくれるか。微妙だな。カオスはそう思った。


「ではルールの説明という名のおさらい、の前に自己紹介をするぞ」


 ケイは怪しい箱を向け、リーンはメモをとりはじめた。


「私の名前はシド・シシドだ。教師でなく用務員をやっている」


 用務員か。感想は、どおりで魔力の気配がないなーという者達と、魔力がないけどこの人ヤバいと感じる者に別れた。それなりの戦闘能力を持つ者ほど後者よりの感想を抱いた。ちなみに、戦闘能力は無いのに後者よりのケイは、魔力以外の長所があるんだろーなという漠然とした直感だった。


「さて、今回のレクリエーションだが、2人1組で地下1階から2階へのタイムを計る。遅い方が2階に到達したタイムだ。


 それと本来、タイムは優秀な者しか公表 しないが、特別に第一、中間、最終組のタイムも教えよう」


 ただ者じゃない。どうやって聞いたのか誰も気がついていない。


「それと公平を期するために情報交換は行わないものとする。これは今回限りの特別ルールだ。故に終了した者は違う場所で待機してもらう」


 カオスにとっては有り難い追加ルールだった。


「付け加えだ。ダンジョン内で戦闘不能となった場合、或いは30分経過で失格扱いだ。合計タイムでないから勝負には関係ないな」


 その辺りは確認不足の部分である。あまり関係ないが。


「それと制服の機能だが、発信器がついていて、ダンジョン内の居場所は把握されている。そしてダンジョンに制服を脱いで入るのは禁止。鎧を着るなら制服の上から着ろ。もっとも、幾重にも魔法防護を仕込んだ特注だから、そんじょそこらの鎧より丈夫だがな。これらは今後のダンジョンに入るさいの規則でもある」


 今回の勝負ではあまり関係ないか。


「他に質問はあるか?」


「確認します」


 カオスが質問する。


「要約すると他の細かい事は置いといて、地下一階から二階に2人が到達したタイム、だけでいいんですよね?」


「身も蓋もないが、そうだな」


 その確認、必要なのか。シドはそう思ったが、


「じゃあどちらから始めるんだ?」



「自分から行きます」


 ピート・ラフガン。赤目の一流の冒険者だ。額が広く、赤い髪がかなり後退している。


 入学の規定が冒険者学校に入学した経歴のない者であり、また年齢制限等もない。よって、冒険者学校に入らず冒険者のパーティーに混じっていた者は、入学の要件を満たしている。



 貴族のご令息ご令嬢の箔付け兼護衛にそういった者をつけるための抜け穴だ。つまり、本来の相方はロート。


「あの頭からすると40近いか?ベテラン冒険者のお手並みを拝見しよう」


 おそらく、天組の能力で実質No.1。ただし箔付けのためロートより上にいく訳にはいかないので、成績をわざと下げ、結果カテリアに抜かれての3位。


「…………未だ28だ」


 その歳でその頭?思っても口に出す者はいなかった。


「…………すまん。そこはリサーチ不足だった」


素直に謝るカオスだった。





独り言




理論上、 百歳越えても入学できる。今までの高齢記録は58歳。また通常は3年で卒業する。飛び級は無いが留年はある。

 今までの最高記録は学校に54年在籍。マラソンの世界記録と同じ。

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