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オレ達問題児ですか?体力無さすぎっからしゃーない

「同部屋だな」


「だね」



 冒険者学校に到着したカオス達は簡単な手続きを行った後に、学生寮にたどり着いた。その部屋割りをみてケイとヴィンはこれから宜しくと簡単に会話をしたが、


「ちくしょう!どうしてだよ!あんまりだよ!こんなのって、ねぇよ!」


 カオスは1人慟哭をあげる。


「3人一緒に頑張ろうと誓ったじゃないか!」


「ねーよ」「ないない」


 即座に否定。


「それなのに、それなのに!何でオレだけ除け者なだよ!お前ら酷すぎる」


 たかが勝手に決められた部屋割りごときで彼は何を宣っているのだろうか?



「酷すぎんのはテメーの頭だろ」


「プっ!」


 ヴィンの毒のある返しにケイは吹いた。



「僕の同部屋の人は俳優さんなのでしょうか?」


 3人の背後から矢鱈と高い声がかけられた。振り向くとそこにはひ弱そうで小柄な、オフゴールドな長髪で短パンを履いた多分少年がいた。ここは男性用の寮なので、男性の振りをしているのか、空きが無い等の手違いでここにいる女性なのか、判断に迷ったが、


「カオスは俳優でなく遊び人な。笑顔にさせるという面では一緒だけど」


「ていうと、あんたはヒヨワード・ウィークか?」


 女性である可能性をスルーしてケイは訂正し、ヴィンは部屋割りから名前を確認する。


「宜しくなヒヨワード君。さぁ一緒に今、この青春を駆け抜けよう!」


 復活したカオスがヒヨワードの手をとり、握手しながら彼なりの青春に勧誘する。なお、後の先輩後輩先生方等々は語る。そんな青春に巻き込むなと。特にヒヨワードの昔からの知り合いは。


「はい!頑張りましょう!」


 しかしヒヨワードは乗り気だった。大丈夫かこいつと2人が思うものの止めるつもりはないので、カオスはますます暴走する。


「まずは明日へ向かってダッシュだ!」


 どういう理由だよ。聞けば青春だからと答えられて更に困惑させる事になるのだが、声と同時のダッシュでいなくなったので、その機会は失われた。別に失われても問題ないが。


「待って下さーい!」


 ヒヨワードもてくてく走り出す。遅いと思ったが、残った2人は何も言わないでおく。


「……明日って、どっちの方向だろう?」


「カオスが走った方向だろ」


 ケイのどうでもいい疑問にどうでも良さそうにヴィンは返した。



「で、青春バカはどっか行ったわけだが、お前はどうすんの?」


「工作室かそれに類する部屋に行くよ。自働弓を改良するから」


 普段の気だるげな雰囲気からうってかわって、イキイキして目をギラギラさせたケイを見ながらヴィンは事前の資料を思い出す。


「整備室と錬金部屋があったな。使えるかは知らんが」


「最悪広い外でやるよ。後で試射しないといけないし」


 精密機械をそんな雑に扱っていいのかとも思うが、砂漠地帯でメンテする可能性を考えれば綺麗な方である。



「ヴィンはどうするの?」


「適当に歩き回って、クラスメイトと顔合わせでもするさ」


「それはいいな」


 いつの間にかカオスが戻っていた。


「走りに行ってたんじゃねぇのかよ?」


 ヴィンの言葉にカオスは背中を見せる。そこには気絶したヒヨワードが背負われていた。


「これも青春さ!」


 にこやかに言うが、


「その青春に耐えられてねーぞ」


「まずは体力を作るのが先決じゃないかな?」


 ケイはそう言うと道具袋をがさがさあさり、紙の束を取り出した。表紙には『今日から君も筋肉さ!!!』と書かれている。



「「何だそりゃ?」」


 カオスは面白そうに、ヴィンは不審感を持ってそれを見る。


「旅の剣士に物作りが趣味ですと言ったら、身体(筋肉)も作ってみないかと渡された」


 紙束は栄養学と筋トレ方法について書かれていた。その剣士は何を考えているのかとヴィンは問い詰めたい。聞かれれば『物を作るのも体を作るのも一緒だ』と答えるのがオチであるが。きっとその剣士はカオスと気が合うだろう。



「サンキュー!じゃあ筋トレだ!」


 カオスは筋トレ教本を持って、筋肉筋肉と言いながらヒヨワードを背負ったまま走り出した。



 残った2人は雑談をする。


「それでお前は体つきがいーんだな」


「素材採取で必要だろうからね。冒険者学校入学もそんな理由だよ」


 自衛手段、罠対処、他の冒険者との連携。それらを踏まえて


「そりゃ冒険者学校が適任だわな」



 一応、冒険者学校に行かずに冒険者として活躍する者もいるが、それは例外だろう。



「そういえば、ヴィンのジョブってなんなの?」


「【戦争屋(ウォーロード)】」


 端的なヴィンの返答に、それって脳筋バリバリの前衛じゃなかったっけとケイは思ったのだが、


「考えてる事が丸解りだ。知略型の【戦争屋】は集団戦闘を指揮する軍師としての側面もあんだよ」


 他にも地形効果をもたらす塹壕を作ったりもする。


「それって何処かの軍に所属した方が良くないかな?」


「百年前に生まれてたらそうしたさ。けど、周期的にもうすぐ魔王が復活するだろ。魔物との戦いを学ぶなら冒険者だ」


 よく考えているなーっと、ケイは気楽な感想を懐いた。そんな入学式まで1週間前の出来事だった。




称号変更

ヴィン・テトム

【似合わない思考型な】【戦争屋(ウォーロード)


作者の独り言




筋トレネタを挟むためにケイが痩せマッチョになった。そしてひ弱なヒヨワード。




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