部活動をしよう。ロックオンされてる!?
カラ~ン♪カラ~ン♪
授業の終了を告げる鐘がなり、放課後になった。
「それじゃあ農業をしようぜ」
カオスの一言でコントのようにクラス全体がずっこけても彼等は悪くない。
「月に行くんのはどーしたんだおい!?」
それはヴィンでなくとも叫びたくなる。
「一人でやっても楽しくないからな。義務もないし、楽しくない事はやらない。遊び人だからな!」
「そーいう問題かよ」
ヴィンとしては呆れる他にない。
「じゃあ、なんで農業なのさ?」
嫌な予感がしつつもケイは質問した。それに対してカオスは何を当たり前の事をと言いそうな雰囲気で答える。
「部に誘う友人と仲良くなるのを先にしないといけない、ということに気がついたからな。という訳で、農業部を楽しもうぜ」
最初の犠牲者のケイはガックリ項垂れた。クラスの反応としては、そこまでしてケイを引き抜きたいのかというものと、その手があったかというものだった。
もっとも、誰も作った事の無いものを作るのに錬金術師を仲間に引き込むのは当然だし、その中でも物作りに長けているケイに目を付けるのは当然なのだが。
しかし引き抜くために同じ部に入るのは普通の人には無理だ。知識も興味も無いのに部に入るのは相手に迷惑であるし、入部を断られる可能性もある。
「マイナーな部活はお試し期間が設けてあるから、他にも参加したいやつは参加しようぜ。これも青春さ」
彼は青春を付ければ何をしても良いと思っているのだろうか?
「僕も参加します」
クラスで最も体力のないヒヨワードがカオスのよくわからない青春に参加した。続いてリーン、
「じゃあ私はカオスさんの参加風景を記事にします!」
「だったらヒヨワードもリーンも『月に行こうぜ部』の一員だな。しばらくは他の部活に参加しながらリーンは記事を書けるし、本格的に空を目指した記事は読みたがる奴も多いだろう。ヒヨワードも基礎体力を作るのに農業は役立つし、『月に行こうぜ部』に参加しようぜ」
「はい!」
ヴィンは顔を引きつらせた。部の名前に思う事はあるがそれは置いておき、相手に十分なメリットを用意して、しかもカオスが何かデメリットを被った訳ではない。レギオン構想もそうだが、人を引き込む力に長けている。
「掛け持ちでいーんだよな?」
「お?ヴィンも参加か?むしろ、掛け持ち推奨だぞ」
この掛け持ち推奨もいまいち理解が及ばない。掛け持ちでも構わないと掛け持ち推奨、この違いは大きい。ヴィンには理由が見当もつかないが。
「てめぇが必須だと思う人間全員の参加か内定が決まったら呼んでくれや」
「ふむ」
そこでカオスは数秒考える。そして必須だと思う人について言う。
「因みに、クラス全員を予定している」
「「「は?」」」
クラス全体が固まった。
「……それは部活動と違うんじゃねぇか?」
「いや部活動であってるぞ。他のクラス、上級生や下級生も巻き込む予定だしな」
その上で最低でもクラス全体は巻き込む。
「できれば教師や学校外の人も巻き込みたいが、そこは厳しいだろうな」
計画がでかすぎる。
「それでもあえて少数を選ぶなら、第一がケイとリーンの2人、次がヴィンとハーゲンだな」
「お、ワイか?」
名指しで呼ばれたハーゲンという禿「ハゲとちゃう!剃っとるだけや!」
「急にどうした?」
「いや、誰かにバカにされた気がしただけや」
ともかく、そんな男である。体格はやせ形で身長は平均よりやや低めだ。
「せやかて、なしてワイが主要メンバーになっとんねん?」
「材料集め担当だな。どんなに希少な物をどれだけ大量に使うかわからないから、物資担当として真っ先に考える人間になる。ケイに採取も頼むのは効率が悪い」
ケイは無いなら作る、材料が足りないなら採ってくるというスタンスだが、本来なら無いなら買うのが一般的である。
「ほーん。ほな、ケイのサポートをやればええんやな」
直ぐ様算盤を弾く。
「せやね。ケイが参加すんならワイも参加したるわ」
やっぱりケイが必須か。カオスの想定内である。そりゃ新発明の道具を専属で卸して貰える可能性もあるし、月へ行く為の道具を作る過程で産まれた技術は金になると判断した。
「ケイが第一に上がるのはわかるんだが、何故リーンも入ってんだ?」
「ケイの作った物を駆使すれば、全世界に情報を流せそうだからな。広報担当だ」
そういう意味では必須の裏方である。
「じゃーオレは何故だ?」
「三人です一緒に頑張ろうと誓ったからな!」
「ねーよ」
「ないない」
直ぐ様否定する。
「さて、そろそろ農業部に行くぞ」
こうしてカオスによるケイの調略が始まる。




