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軍人さんとモルモット  作者: 海埜 ケイ
1/4

今日は、お兄さんなんだね

新シリーズになります。

無邪気な子供とクールでイケメンな軍人のやりとりを書きたかっただけです。

かなり鈍足更新になりますが、楽しんでいただけたら幸いです。


クゥルッポー、クゥルッポー、クゥルッポー



 どこかで鳴っている鳩時計でボクは瞼を開ける。

 全身がズキズキと痛むけど、これはいつものこと。

 冷たい床で寝るといつもこうだ。

 石の壁に囲まれた部屋は、一面だけ鉄格子になっている。こちらからも向こう側からも丸見えだ。


(ごはん、まだかな)


 部屋の隅に置いてあるバケツで用を足し、黄ばんだタオルで汚れた部分を拭く。

 他にやることのないボクは鉄格子の前に座った。しばらく待っていると、軍服を着た男の人が木の板にパンと水を乗せて持ってきてくれる。


(今日は、この人なんだね)


 軍服を着た男の人は全部で三人いる。

 一人は太った男の人でとても嫌な人。ボクや他の子を棒で叩いたり、突っついたりして楽しんでいる。ボクたちが泣くとより楽しそうに笑うから、ボクは泣かないように痛いのを我慢して耐えるようにしている。

 もう一人は、細っちょの男の人だ。自分は“世界一格好いい男“と言っているけど、ボクには、ゴボウみたいに薄っぺらい顔をしている人で、格好いいとは思えなかった。

彼は格好いい自分に自信があり、ついうっかり偉い人の娘さんに手を出したのがバレてここに飛ばされたのだと言う。一体何をしたのだろう。

 最後に、このお兄さんだ。他の二人よりも年若く、ゴボウの人とは比べ物にならないくらい、きれいな顔立ちをしていると思う。

 他の二人と違って、無口だし、目付きは悪いが特に何もしないから嫌いではない。

 後、紫の瞳に藍色の髪が、まるで夜空みたいなので、ずっと見ていても飽きなかった。

 彼は一言もしゃべらず、ボクに食事を与えた。

 太った男の人の様に取ろうとした寸前に足で踏みつけたり、細っちょの男の人みたいに嫌味も言わない。彼はボクがパンを齧るのを見届けると、別の子の元へ行く。


(もっと、見ていたかったのになぁ)


 無表情で人形のような彼の後姿を、ボクはジッと見つめるのだった。




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